入居者名・記事名・タグで
検索できます。

2F/当番ノート

私的でよそいきな断片

当番ノート 第9期

夏休みの最終日。
ぜんぜん宿題をやっていなくて、夏休みの前半の出来事や天気なんて全然もう思い出せなくて、
それでもなんとか必死に振り返りながら、絵日記を完成させた。

もう、あれから20年くらい経ったのに、
まったくそれを彷彿させる、毎週木曜日は、夏休みの最終日。

この2ヶ月間、わたしの当番である金曜日の前日の木曜日は、いつもそんな気持ちを思い出した。

2ヶ月前。
タカヒロさんからアパートメントへ声を掛けてもらったとき、とても嬉しかった。
その一方、不安が嬉しさの一回りくらい大きかった。

計8回も締め切りをおとさずに書くことができるか自信がなかったし、
案の定、毎週夜中にわんわん喚きながら「書けない、眠い、書けない、眠い」を繰り返したし、
週刊連載の漫画家の苦悩を勝手に想像したし、
周りから見ても痛々しいくらいには、気負っていた。

人を形成しているものは、なにだろう。
細胞とか、臓器とか、だけじゃなくて、
しゃべる、触れる、その仕草、動き、その複合的なものの集まり。
そして、こうやって文章を書くこと。
例えばあなたの目の前に現れたわたしは、文章のわたしとは、なんだか違うかもしれない。

これまでに書いてきたことについて、
常々そういうことに思いを巡らしているわけではないし、
正直、人から見られることを意識して、格好つけようとしたところもありました、恥ずかしながら。

だけど、書かれたことはわたしを形成する一部として確かに存在している。
誰かの手に渡ったときに、その一部がそれぞれ形をかえていたとしても。

最後まで書くことのできなかったこともあったし、
もっと触れたかった人もいたし、
それはまたどこかの機会に書けるようになるかもしれないし、ずっとその時はこないかもしれない。

ひとまずは、最後の夏休みの絵日記を提出して、
始業式からの日々に戻りたいと思います。

今回誘ってくれたタカヒロさん、アパートメントのみなさま、
わたしのつたない文章を読んでくださったみなさま。
本当にありがとうございました。

誰かに知ってほしかったこと、
伝えたかったこと、
なにものでもないわたしが、なにか、あなたの一部に触れることができたならば、嬉しく思います。

ukii

ukii

1984年生まれ、大分県出身、東京都在住。
人間1人、猫1匹と暮らしています。
幼い頃から今に至るまで、手を動かして物を作ることが好きです。

トップへ戻る トップへ戻る トップへ戻る