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2F/当番ノート

あのこ の はなし.

当番ノート 第10期

aka01

「 あたしと心中してくれる? 」






まっすぐな瞳と眉の上で切りそろえられた前髪が印象的で、あのこの素直さと頑固さがあらわれているようだった。
たぶん少女と呼ぶ年齢ではなかったけれど、女性と呼ぶのもなにか違う。
いつからから、いつまでも、「いまのまま」。
そんなかんじだった。

あきちゃった。終わってしまった。空洞だ。
そんな感じのことをよく言っていた。
今は余生ということらしい。



あかるい、げんき、すなおでいいこ。
嘘ではないけれど、それだけではない。
あのこを見ていて、ひとは多面的なのだということをを覚えた。
正しいことが、正解ではないと気づいたときににている。
世界の暗黙のルールだと思っていたものも、そうではなかった。みんなの基準なんてばらばらだった。
両親はかみさまではないし、他の人たちもかみさまではなかった。
かみさまがいちばんえらいのでもなかった。
どれもが、本当にも嘘にもなった。
世界はぐるぐると回っていて、そこにひとりで立っていることに気がついた。
自分の中心はいつまでも自分なのだ。
けれどそれすら、自分の「本当」でしかない。



地球をひとりで転がすあのこも、けれど、自分以外の軸の存在をまだあきらめてはいないようにみえた。
願っているのは死などではなく、死をもたらすほどの価値や衝撃なのかもしれないね、
いつだったかのあのこの言葉に今更そう思うのだった。

赤堀 あゆみ

赤堀 あゆみ

1990年生まれ、
写真をとっている。
夏はアイスが手放せない。

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