Put your hands up toward the sun.

第36期(2017年12月-2018年1月)

(スタジオにて冬の陽射しを浴びながら)

(スタジオにて冬の陽射しを浴びながら)

昼食をとるために外国人旅行者達がたくさん集まる安宿街に向かう。
この時期の香港は陽射しが穏やかでとても過ごしやすい。

どこの国でも安宿街の近くの食堂は食べ物が安くて美味しい所が多いし、どこの国も裏通りが一番面白い。
隣のテーブルに座っていたヴェトナム人の女性が突然「ああ、チャイが飲みたい!」と叫んだまさにその瞬間に、巡回しているチャイ屋さんが入ってきた。
口笛を鳴らして喜ぶ女性に

『欲しいものがあれば 口に出して 泣いて 宇宙に願いを訴えなさい
 赤ちゃんの泣き声を聞いたお母さんが駆けつけるように 助けがくるから』

というような詩を読んだけれど、今あなたの願いが一瞬で叶ったね。と言うと、彼女はキュートな笑顔で

「ちょっと離れたところにいる友達に振り向いてもらいたかったら、名前を呼ぶでしょう?
 一度で届かなかったら、大きな声で、または繰り返して呼ぶでしょう?
 私たちがオームというマントラを唱えている時も神様の注意を引くためにウインクをして合図を送っているのよ。」と話してくれた。

ヴェトナムはキリスト、ヒンドゥー、カオダイ、仏教が入り交じっている多宗教国家だけれど、彼女はヒンドゥーだったみたい。住み込みのメイドとして姉妹で香港に働きに来ているそう。香港のセントラルパークこと、九龍公園は週末になるとヴェトナムやフィリピンから来た大勢のメイドさん達がゆっくりと休日を過ごしている。

「私は日本人だけど、オームという言葉が大好き!全ての言語ね。」と言ったらとても感動してくれて、チャイをご馳走してくれた。お返しに私はバッグに入っていたチョコレートをあげた。

Om(オーム)というのは、聖音・呪文で、宇宙の原初の音であり、宇宙はこの音の振動によって広がっていき、過去も現在も未来も共振し続けているという考え方。想像、維持、破壊という宇宙の働きの象徴でもある。
7年前にインドを訪れた時のこと。マントラを唱えるアシュラムで大勢の声が響き渡り、波動になって身体に突き刺さった感覚を今でもはっきりと覚えている。

本を開き、続きを読み進める。
始まりと終わり、原因と結果、肉体と健康もすべて「私は I AM」で包み込み、超越した真我の存在のみが宇宙の全てであると伝え続けた、究極的な非二元論者の聖者について。

訪れた土地の神様に余所者として挨拶に行く。

お祈りをする時って、あらためて言葉を考える。

この世に存在する言語とその土地にまつわる神聖なもの。

そして、外の現れに祈りを捧げる形をとることで、自分が何をしたいかを絞ったり、その時の自分の心が霧の中から見えやすくなる力があるような気がします。

こだわりを捨て、何事にもとらわれないこと。
この世に決まりきった絶対などはなく、やわらかい心でさらさらと流れるように物事を見つめるとき、最良のものが紡ぎ出され、私とは何者であるのかを了解する。
でも同じ時代にね、こだわりだらけって、良いという気がするよ。

触られたり、見られたりするものじゃなく、感じているもの。
それは何かと言えば、貴方だったり私だったりすることだけれど。

in Hong Kong.
Naomi.