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2F/当番ノート

当番ノート 第36期

先日完成したばかりの、とあるショートフィルムを見た。

撮影にあたって衣装デザインを担当した作品である。

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茫漠とした風に巻かれて消えそうな存在と、痕跡と。

私たちはなぜ生きるか。

誰も知らない、誰かの物語が無数にあるということ。

滅びること。

 

優しい雨の音をぼんやりと聴くように、それらのことが頭を巡った。

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映像作品のための衣装に、デザインの構想から携わったのは久しぶりだった。

 

映像全体の構想を聞き、衣装について映像作家と一緒に練りながら、当然言葉を交換する。

抽象的な言葉と、具体的な言葉と。

言葉で上手く説明できないと感じれば絵や写真も時折交える。

逆に絵や写真のイメージに引っ張られたくないときは、なるべくそれらを減らして言葉を尽くす。

 

そのあたりのバランスを取りながらするやり取りを、実物の製作とはまた別にとても心地よく感じることが時々あり、今回の作品が特にそうだった。

お互いが普段使う語彙だったり、綺麗だと感じるものの種類だったり、気分というか調子にも左右されることではあると思うのだけれど。

本当に楽しく作らせてもらい、ありがたかった。

人の表現とその工程に触れる喜びは自分にとって、他の何物にも代え難い。

 

short film “Ⅱ”

 

 

Starring : Hazuki domotokyo.com/model-women/Hazuki
Director : Takahiko Watanabe
Assistant Director : Soh Ideuchi
Composer : Yoko Komatsu yokokomatsu.com
Costume Designer : Misaki Kuroi
DP / Camera Operator : Shigeta Kobayashi
2nd Camera Operator : Tsukaya Suzuki
Hair & Makeup Artist : Asumi Washizuka hm-asumi.tumblr.com
Production Assistant : Masataka Kougo masatakakougo.com

 

黒井 岬

黒井 岬

服を作る人。
1993年、新潟県生まれ。2011年より東京に移り、専門学校に4年間在籍し服飾を学びながら作品を製作する。
自主製作のほか、ミュージックビデオ、映画、ダンサーなどの衣装製作を行う。

Reviewed by
kuma

黒井さんの生みだす衣服は、いつも心地よい風を孕んでいるように見える。それと共に、様々な時代のかおりを感じさせる。連綿とつづく歴史のどこかに咲いた花の断片が、そこに静かに綴じられているかのように。

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