Universe is working.

第36期(2017年12月-2018年1月)

(”Across the Universe” Paint by Naomi Horiike "宇宙を渡って")

(”Across the Universe” Paint by Naomi Horiike “宇宙を渡って”)

昼下がりのジャーマンベーカリー。メガネをかけた坊主頭が、くわえ煙草で目の前の席に座った。
読書中の私。他にも席はたくさん空いてるっていうのに。
タバコをふかしながら話し始めようとする彼に、一緒に座るならその臭いのを消すように言うと「これは自分で買ったんじゃなくて人からもらったんだ」とぶつぶつ言いながらもみ消した。

「日本人?ここに住んでるの?」と質問をされ、しばらく滞在して近くのスタジオで絵を描いてると言うと、ロシア語の本を見せながら「僕にはこの偉大な師匠がいるんだ。アジアを半年かけて旅をしていて、これからインドに向かう。」とおしゃべりな彼は色々話してくれた。

聞くと、すでに亡くなられた有名な南インド古典音楽家のお弟子さんが彼の地元であるロシアにやってきて話をし、すっかり感動してしまったらしい。彼はその人が住むリシュケシュの郊外を目指して行くのだそう。

7年前にニューデリーやリシュケシュに行ったわ、と言うと「君もヨガをやるのか!何日滞在したんだい?良い先生は見つかった?」とまた立て続けに質問をしてくる。

ヨガの聖地、リシュケシュ。あの町には玄人から初心者まで、ヨガをしたい人達が集う。
ヨガの先生になるためのトレーニングも数箇所でやっているし、イスラエルのまさに兵役が終わった!という若い子の集団から、夫婦で来てる人、年配のソロ・トラベラーや観光客まで。

ビートルズがホワイトアルバムを書いたことでリシュケシュは一気に一般の人の間でも有名になったけど、昔からスピリチュアルな波動で満ちているらしい。
その為にリシュケシュで瞑想をすると意識を拡大するのに効果的らしいけど、私は拡大出来ているのかな。

彼曰く、ロシア語とサンスクリット語は発音や単語が共通らしく似ているらしい。

この宇宙にはさまざまな風が吹いている。

一木一草にも風のそよぎにも、ああ、何かの知らせではないかしらとか、鳥の声を聴くと、ああ、鳥は今日はこんな鳴き方をしたけれど、昔の人も同じ声を聴いたに違いない、とか。
どういう心の時に聴いたのかな、と思ったり。
今日はこんなふうに鳴いたけど、良い兆候の意か、それとも災難の知らせかと耳を澄ましたり。

そういう魂たちと一体になった世界が今もある。

例え残酷なカルマを背負っていても、悲惨な目にあっても尚、極限状況を超えた人間が放つ生命、魂の輝き、その美しさに満たされている世界。そんなものに私は惹かれる。

滞在している施設は、エコビレッジと詠っているだけあって、自然に囲まれたとても美しく落ち着いた場所。
とは言っても、今週あった一年の豊作の感謝を神に祈る祭りの夜は、近隣の村から大音量の音楽が夜中までかかっていましたけど。

「ナオミ、がんばって!」と旅立つ私をみんなが見送ってくれた。

その時にもらった「がんばって」は歯をくいしばって耐え忍ぶことこそが美徳とする、私の苦手な匂いのする「がんばって」ではなくて。
私の中にある一番健やかなところを認めてくれて、その高次の自分を信じて、そこに照準を合わせて生きることを忘れないでね。あなたの場所は私の中にちゃんとあるよ、って。

そんな風に優しく大きく包まれて応援されてもらっている気がした。

in Da Nang.
Naomi.