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do farmers in the dark(12)

Do farmers in the dark

cover

表題:5発の銃弾が僕の頭を突き抜けたので走馬灯が見えると思ったんだけど、見えたのはただ色と何でもない形だけだったのでとても悲しかった。今まで楽な事ばっかりしていたからだ。もっとしんどい事したり、なにか頑張れば良かった。いつも色んな事を努めて忘れていたけど、忘れなければ良かった。

 

本当に毎月すみません。今月も前月に引き続き、自己紹介を書いています。悪いことに前月より本格的に自己紹介になってしまっています。やめると言っていた娘の事も書いています。ではよろしくお願いします!

 

 

 

第1話 待ち人来ない、吉報無し、引っ込み思案、ニヤつきが止まらない

 

待ち人が来ない、でも待ち人とは誰か分からないので問題がないんだ。

吉報無し、でも吉報とは何の事を指す言葉か分からないから問題がないんだ。(大体の予想はついている、吉報とは、お寿司とか焼肉とかのご馳走が毎日自宅に届く確約が報じられた時の事だ。既にお寿司とか焼肉とかのご馳走を毎日食べている人には、無尽蔵な世界的な愛や名声が自宅に届くと思う。でもとにかくそんなような吉報は無い)

そんな中、ここ何年かニヤつきが止められない。

爆笑をどうにかこうにかこらえている事もある。親しく無いけど何となく知ってる人の顔を見た時、相手が男でも女でも、楽しくて爆笑してしまいそうになる。何とか爆笑をこらえて、相手が直視したら吐いてしまうような顔でニヤつく。ひどい時は満面の笑みで口元だけ隠している。しかし今まで出会った人は忍耐のある人達ばかりで、吐かなかった。

道を歩いている時、爆笑しそうになる。変な人と思われたくないので何とかこらえてニヤつく。何もニヤつく対象がない場合、自分に爆笑しそうになる。何とか爆笑をこらえてニヤついている。

多分引っ込み思案なのでこうなってしまった。常に誰かとちゃんと話していれば普通に笑ってればいいもんね。自分には会話が足りてないんだ。それと不快な感情が嫌いなので、不快な事が起こると努めてニヤつくようにしていた。そういうわけで、自分は外部から幸運しか与えられていないけど、数少ない不幸も無視してしまった。するとおおよそ毎時間ニヤついている人間になってしまったんだ。オエェ~。

でも意外とみんなも結構ニヤついているのかな?自分はただニヤついている自分を人より意識しているナルシスト野郎なだけか、それともつい毎時間ニヤけてしまう事をあえて話題にする人がいないだけなのか。

ちなみに僕は、何回か人に「なんか最近笑いが止まらなくて、人の顔を見るとすごい爆笑しちゃうんですよォ~、さっきもやっちまいまして!!びょうきですかねェ~~?」と何度か話題にしている。すごいつまんなくてウザいと思うけど、みんな優しいので、

「なんかの病気かもね。そういうのあるらしい。一度病院行った方がいいかも」と言ってくれる。

暗闇

暗闇が入り用で、運良く暗いところを手に入れ早速入ってみたら親切にも入り口でごく自然に目を潰してくれる形状だった。くそっ!痛ッテイヨ!あと凄く狭い!

 

 

第2話 ファッションに執着した1日

 

その日僕はファッションに執着していたので、今すぐに何かアップリケがついた緑の帽子と、黄緑色のカッターシャツと、黄緑色の厚みのあるカーディガンが欲しかった。黄緑のリュックはもうすでに所有していた。靴は黄緑色では無くズタボロの黒い靴だったけど、どうでも良かった。とにかくファッションがしたかった。オシャレしたかった。

朝から娘に緑の帽子、黄緑のシャツ、黄緑のカーディガンが欲しいから、買い物に一緒に行って欲しいとお願いした。娘はいいよ!と言ってくれた。

天気は大丈夫かなあ?ほどほどに曇っていて、雨が降ってもおかしくなかった。

電車に乗って若者が着る服屋さんがたくさんある街へ行った。電車を降りたホームで、娘は既に僕の買い物に付き合うのがあらゆる出来事、事象、万物、森羅万象と比較してとてもつまらない事に気付いてしまった。

「父ちゃん、帰ろうよう」

僕は再度とても緑の帽子、シャツ、カーディガンが欲しい事を説明した。

「父ちゃんは緑色の、何かアップリケがついた帽子がめちゃくちゃ欲しいんだ。黄緑のシャツ、黄緑のカーディガンもめっちゃ欲しいんだよ!お願い!頼むから一緒に行ってくれないか」

 

そしてりんごジュースを渡した。娘は買い物に一緒に言ってくれる事になった。

 

なんてダメなお父ちゃんだ。本来なら時間がある限り、海、山、バイクの後部座席に載せたり、車で遠出したり…素晴らしい景色を見せないといけないのに。素晴らしい両親がそうしてくれたように。僕はスピードの出る乗り物を持ってなかった。僕のお父ちゃんは車やバイクやオーディオ機器やゴルフクラブや小屋を持っていた。そしておじいちゃんは山の土地一部や、田んぼや畑や、いも虫や牛や鶏、米や野菜、家屋、小屋を持っていた。そして脈々と受け継がれた血統がたどり着いた現在がこの私だ。家も、車も、単車も、土地も、小屋もいも虫も持っていない。ご祖先さまに申し訳ない。そんな中自分は緑や黄緑色の物を探している。買い物して、常時楽な事ばかりしている。

いたるところに色んな服やさんがあった。意外にも緑の帽子を売ってる店はすぐにあった。アップリケはついてなかったけど、無地の緑の帽子に、アップリケみたいな刺繍を帽子につけてくれる店だった。

刺繍の柄の見本シートが何枚かあって、そこから好きな柄を選んでそれを刺繍してくれる。オレンジ色の恐竜の柄と、赤いさくらんぼの柄と、黄色いブルドーザーの柄で迷ったけど、赤いさくらんぼを選んだ。

娘にも一つ選んでもらった。娘はluckyという刺繍を選んだ。素晴らしい!僕もluckyという単語は大好きだった。お店のおじさんに帽子の前面の中心部に、luckyという刺繍を入れ、その上にさくらんぼの刺繍を入れて欲しいと頼んだ。

「このラッキーという刺繍をですね、ここに入れて、あともう一つ、さくらんぼの刺繍をですね、この上に入れて下さい。すいません。」と言った。

するとお店のおじさんは、

「うん、はい、はい」と言った。

そしておじさんは携帯でさくらんぼと、luckyという刺繍見本をなんとなく写真に撮っていた。

2日後に出来上がると言った。特に控えは無かった。

次は黄緑色のシャツと黄緑色のカーディガンを探しに行った。

またもや意外にも、緑の帽子の店から徒歩1分圏内の別の服屋さんで今度は黄緑色のカーディガンを見つけた。しかも、薄い黄緑、濃い黄緑、くすんだ黄緑、薄い黄緑にベージュのラインが入ったカーディガンがあった。こんなに黄緑色の色んなバリエーションのカーディガンを見る事は初めてで、予想外に買い物が順調で気分は高揚した。4着持って試着室に入った。

娘は暗い試着室に少し怯えているようだったので、試着室にある小さな椅子がとても良い椅子で座るといい具合だ、茶色が濃くてとてもいい、という事を伝え、座ってもらった。

順番に娘にどれがいいか聞いた。娘は薄い黄緑色にベージュのラインが入ったカーディガンが良いと言った。確かにその通りで1番自然に見えた。でも自分は黄緑色のカーディガンを買うという目標だったので、それではなくより黄緑の、1番濃い黄緑をした鮮やかなカーディガンを選んだ。

全部試着して買うものも決まったが、もう一度全部試着してみたくなった。試着室の外に人の足が見えた。もしかしたら試着したい人かもしれない。僕は全身から汗が噴き出した。一刻も早くこの試着室から出ないと。

4着の服をまとめ、娘を見ると、狭い試着室にウンザリして今にも泣き出しそうだった。僕の全身から再度汗が噴き出した。早く試着室から出ないと。とにかく両手の使いどころとその順番に困った。どの順番でどう服を畳んで、娘に靴を履かせ、抱っこして、リュックを背負うか。抱っこは順番的に最後が良いのは分かったけど、脇も使わなくてはならないのかどうか迷った。足は使えなかった。足を使って物を持つ人を見たことがなかった。それ以外は分からなかったので、やっぱり上手くできなくて、お店のお姉さんにも色々持ってもらいながら試着室を出て、濃い黄緑色のカーディガンを買い、店を出た。

今日もそうだけど、とにかくいつもいつでも両手をどう使うか迷ってしまう。持ち物が多すぎるんだろうか。僕は一人で出かける時はいつもイヤホンをつけて、音楽を聴いていた。既に30を超えた男性が、外出時に常にイヤホンを着け音楽を聴く。それはアホにしか見えないし、実際アホだった。イヤホンを着ける時にいつも両手の使い方に困っていた。鞄や、傘や、買い物袋を持っていたために。いつもどこかにいると思われる所在不明のラッパーの曲を聴いていた。ある曲では「宵越しの銭は持たねえ」と言っていた。次の曲では「金を貯めろ」と言っていた。また次の曲では、子供に愛を教える事を歌っており、その次の曲では、自分がとにかく女の子にモテまくるという事を歌っていた。とにかく向上心のある歌ばかりだった。僕は宵越しの銭は持っていたし、しかしながらお金は貯めては無かったし、子供に愛を教えていなかったし、女の子にモテた事も無かった。

とにかく娘もこれ以上買い物に付き合うのは嫌そうだったので黄緑色のシャツはまた今度にして帰宅した。雨が降ってた。でも緑のものが2つも見つかるなんてすごく嬉しい!意外と上出来だった。

2日後、刺繍された緑の帽子を一人で受け取りに行った。さくらんぼとluckyという刺繍がとってもかわいくてすぐにかぶってみた。店内の鏡で見て、とってもイケてて満足だった。

帰宅して妻に見せてみると、中国では緑の帽子を被る人はいないらしい、とにかく中国で緑の帽子を被る人は馬鹿にされる。蔑まれるらしい。という情報を教えてくれた。あと帽子を被った僕は度を越して気持ち悪いという事を教えてくれた。僕もそう思っていたよ。そして娘は僕から帽子を取り上げ、自分の帽子かのように振る舞った。娘はその帽子がとてもよく似合っていた。僕はそれを取り返すのに必死になった。あと黄緑のカーディガンだけど、気温が上がってしまい一度も着ていない。早く着たいなあ

白玉

白玉

 

第3話 車椅子

 

夜道を歩いていると病院の方向の暗がりから、すごく速い車椅子がスピードを一切落とさず見事にカーブをなめらかに曲がる瞬間を目にしたんだ。あんなに速く、あんなになめらかに曲がる車椅子は見た事が無かった。乗っている人は女性だったが無表情だった。街灯にライトアップされ、腕ききの映画監督が編集した映像のようで、とても早いのだけどなぜかスローモーションに見え、コンクリートを車輪が回転し捉える音は素晴らしく、本当に見事だったんだ。

筋肉

girl(ガール)ガタイ良く、健康、おてんば、腕力が強い、なので当然みんなに愛される。良いところしかないから。

 

第4話 山

 

僕は娘に前々からロープウェイがついてる山に行きたいと言っていたが娘は行きたくないと言っていた。ある日、たぶんやる事が無くなったのか昼過ぎに娘がお山へ行こうと言ってくれた。天気は良くて、時間は15時くらいだった。

電車で1時間ちょっとで行けるロープウェイがある山があった。夕方の山、楽しみだなあ~。

電車に乗る前、娘はずっと抱っこして欲しいと言った。僕は暑かったため、途中で抱っこに疲れてしきりに歩くように言った。あのコンビニに着いたら、絶対に歩くと約束して欲しい。とか、あのお寺を過ぎたら今度は絶対に歩いて欲しい、父ちゃんはすごく疲れているので抱っこしたら心臓がドキドキして倒れる、歩かなかったら帰るとか言った。その日娘は疲れていたのか、嫌だと言って歩かなかった。たぶん抱っこしても倒れることはなかったけど、自分は娘を歩かせる事にとても執着していた。娘は大きな声で泣いて、何とか20メートルくらい歩いてくれた。そして自分はある程度満足してまた抱っこした。自分はかなり意味無い事をしていた。

電車に乗ると、意外にも電車は混んでいて、抱っこして立っていた。結局しばらく抱っこしているのだから、さっき少し歩いてもらったところで何も変わらなかった。自分は娘を大声で泣かせただけだった。娘はウトウトして寝てしまった。

そんなこんなで気づいたらお山に着いてた。娘を起こして、お山に着いた事を告げた。娘はまずまずのテンションだった。山に来る。それが何なのかよく分からない表情だった。僕も山に来て何がどう面白いのかはよく分からなかった。でも海とか山とかは好きだった。

とても一服したかったので、娘に一服が終わるまで近くの椅子で待っててもらった。

ロープウェイに乗るまでの道の脇に、ガチャガチャがあった。ドラ○もんとか、トー○スとか、なんかのバッチとかがあった。娘はガチャガチャしたいと言った。家は既におもちゃだらけだったので、何となく買うのは良く無いように思えた。でも特に買っても問題は無かったので、断るのも良く無いように思えた。ガチャガチャをやる事にした。僕は常々楽な事と辛い事があった場合、楽な方を選ぶように心がけていた。もし先々の事まで考えて判断に迷う場合に楽なやり方と大変なやり方があって、大変なやり方を選択するのは悪人の考え方だと思っていた。でも僕には先々の事は予想もつかなかった。だから現状楽な事ばかりしているプー太郎のような人間だ。

とにかく娘はドラ○もんのガチャガチャをした。そのガチャガチャはほとんどがくつろいで寝ている姿勢のドラ○もんの人形で、そのくつろぎ方が微妙に違う5種類のドラ○もんと1種類だけド○ミちゃんという顔ぶれのガチャガチャだった。とにかく非常に高確率で主役級のドラ○もんが出てくるのは喜ばしい事だった。

硬いレバーみたいなハンドルを回した。やはりくつろいで寝ている姿勢のドラ○もんが出てきた。

消しゴムのような質感だったが、消しゴムでは無かった。娘はとても喜んで、

「ドラ○もんだねえ~」「消しゴムかなあ」

と言いながら、熱心にそれを見ていた。

娘は何か欲しいおもちゃを買ってもらった時、熱心に集中してそれを見て、熱心に遊ぶ。高級な大きなおもちゃであればなお熱心に、真剣そのものだった。その様子を見ると、僕はなぜか寂しいような悲しいような不安な気持ちになった。でも娘も、もしかしたら販売されているおもちゃを熱烈に欲しいけれども、手に入れたその後は楽しみあぐねているのかもしれない。

そしてロープウェイ乗り場でチケットを買い、ロープウェイに乗った。夕方なのにまだ日はあったけど、ロープウェイの中は薄暗かった。娘は乗り物が好きだけど、ロープウェイは初めてなのでちょっと緊張しているふうだった。なるべくいい景色が見えるように、進行方向とは反対側を眺められる一番後の席に座った。

ロープウェイは発車し、ゴトゴトと進んでいった。しばらく進んだところで娘が、

「父ちゃん、お山はどこにあるの」

と言った。僕はすでにここがお山で、周りに木がたくさん生えていて、坂になっているからもうお山の中にいると説明した。娘はそっか~、と言った。

確かにあまり見晴らしは良くなかった。木がたくさん生えているために、その間からでしか遠くの景色が見えなかった。若干木が開けた場所があったので、遠くにも山が見えるのを娘に伝えた。娘はうん、と言っていた。そうしているともう頂上についてしまった。

頂上はポツポツと数人の人がいて、ベンチが割とあった。とりあえず家から持ってきたキャロットジュースを娘に渡した。僕は自動販売機で梨の果肉入りジュースを買って速攻でがぶ飲みして缶を捨てた。とりあえずベンチに座ってみた。見晴らしはそんなに良くなかった。木がたくさんあった。たぶんここはすごく高い山では無かった。周りには何の変哲も無い緑の山ばかりだった。雪山とか、掘削された禿げた山は無かった。夕方なので寂しい空気が漂っていた。僕は寂しくて退屈なのは大好きだけど娘はつまらなそうだった。

もっと見晴らしが良さそうな展望台に通じる階段があったけど、工事中かなんかでロープが張ってあり行けなかった。

娘に場所を移動しようと言って、少し歩くと見晴らしが結構いい場所があった。ベンチがあったので座った。ちょうど同じように隣のベンチに男の子と来ているお父さんがいた。そのお父さんは元気な声で、ムカデがいるぞ!気をつけろよお~!と言っていた。笑顔で、タオルを頭に巻いて恰幅が良くすごく良さそうなお父さんだった。

僕と娘はただベンチに座っていた。見晴らしは良かった。山々と、遠くに街が見えた。僕は

「景色がいいねえ」

と言った。僕もその景色に興味は無かったけど、娘はより景色に興味は無く、看板を見たいと言った。木について、何か書いてある看板だった。何が書いてあるか聞かれたので、僕は木に対する何かが書かれていると説明した。娘は分かってくれた。帰ろうかと娘は言った。帰ろうと僕も言った。途中トイレに行きたかったのでトイレに行き、ロープウェイの発車時刻まで待っていた。

ロープウェイで帰った。帰りのロープウェイは混んでいて、日に焼けたカメラを持っている青年と相席になるような格好で座った。僕はロープウェイが山のふもとに到着するまでのあいだ、その青年に僕と娘どちらかの足の動きがあるたびにありがとうございます、すいませんと言った。毎回何の意味も無い声をかけられて少し迷惑だったと思う。ロープウェイはもうふもとについてしまった。

ふもとではホットパンツを履いた金髪で肌の焦げ茶色の派手な女の子が、チケット売り場の肌の白い割としっかりメイクをしたお姉さんに

「行きも最終が45分って書いてあるじゃん、帰りの最終も45分って書いてあるじゃん?今乗ったらどうなんの?」

と聞いていた。ロープウェイがもう最終の時刻に近かった。どうなるんだろう?すごい気になった。でもメイクをしたお姉さんの回答は声が小さくて聞こえなかった。少し残念だった。

そしてまた娘に一服させて欲しいとお願いして、タバコを吸って帰った。帰りの電車は空いていた。座って何かお話しながら帰った。娘は「ボーギィ」「ワイクー」「モウジャキー」「アベェ」などと喋っていた。僕は「ダーコォー」と言った。すると娘は「違うでしょうよぉ~、ダーコォーワイクゥーでしょうよ」と言った。僕はそうだったそうだった、ダーコォーワイクゥ~、と言った。

その後娘は父ちゃん大好きと言った。すごい嬉しかった。なんちゅう嬉しさ。最高にハッピー。

しかしその後、父ちゃんは怖い時があると言った。びっくりだった。僕は四六時中ニヤニヤしていたので、怖い時なんて無いと思っていた。娘は昨日怖かった。と言った。どういうふうに怖いか聞いたら、

「顔が真っ黒なのよ~、ビ~って、昨日真っ黒だった」と言った。

娘は僕の頭の上から首にかけて、ビ~ってって言いながら指を動かし、ジェスチャーをした。娘は爆笑していたので心外だなあと思いつつも僕も爆笑してしまった。娘は真っ黒という言葉の響きが好きなんだろうか。前にも絵本の背表紙に変な真っ黒の動物みたいな人間みたいなよく分からない生物の絵が描かれていて、これ父ちゃんだよねェ~と嬉しそうに言っていた。しかもその生物は絵本の中に登場せず、背表紙に描かれているだけなので何の生物か本当に分からなかった。

とにかくお山は寂しかった。でも寂しいのはお山だからじゃなかった。どこに行くにしても、僕はいつもただ行くだけだったのと、人数が2人しかいない事が原因だった。何かしないとダメだ。妻を誘って、友達を誘って、サンドイッチやギターやドリンクを持って、ロープウェイを使わなければとっても楽しいと思う。

プレッチェル

プレッツェルクッキー、パイ、凄く、喉が渇いた

 

木澤 洋一

木澤 洋一

ふと思いついた事や気持ちいい事や、昼間に倒れてしまいたいような気持ちを絵にしています。

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