管理人だより – 2015年10月号

管理人だより

「アパートメント」を読んでくださっているみなさまへ

こんにちは、管理人の朝弘・森山・鈴木です。

夏の終わりのある日、急にぐんと空が遠く見える一日があります。時を同じくして、淡く金木犀が香ってくる。雨に打たれて花が落ちると、もうすっかり秋がそこらじゅうを染めている。
日本の秋を懐かしく思います。
パリは8月の半ば頃から涼しくなり始め、今はもうすっかり冬の入り口です。ひざ掛けにキャンドルヒーターでぬくぬくしながら、このお便りを書いています。

今月もお便りをお届けしますね。
お暇な時に、どれどれ、とご覧くだされば嬉しく思います。(朝弘)

 

  1. 1.23期ライターさん・レビュアーさんのご紹介

現在アパートメントに寄せて頂いている記事は、これまでの住人さんから紹介文を添えていただいて、公開しています。
紹介文は「アパートメント」のFacebookページTwitterアカウントでご覧いただけます。記事と合わせてご覧いただければ幸いです。
現在執筆して下さっているライターさんとレビュアーさんをご紹介致します。

〈月曜日〉
ライター:travaillreiさん
レビュアー:ocoさん

月曜日当番は旅人reiさんの連載コラム、「あの時期あの場所あの人」。「あの人」との思い出を軸に、毎回ひとつの土地で織りなされる物語。幼い頃からさまざまな国や地方を渡りながら育ち、今も各地を訪ねて旅を重ねるreiさん。ひとところに留まることなく、だけどしなやかな芯を持っている、それはどうやって培われてきたのだろう。旅の遍歴を追いながら興味津々です。レビューは8期のocoさん、朝弘がなぜだかふとocoさんの顔を思い浮かべ、久しぶりにお手紙を書いてお願いしました。それは根拠の無い風の知らせかもしれません。ですが、自然体であたたかな返歌を読むに、お願いして正解だったと感じます。(鈴木)

〈火曜日〉
ライター:吉助さん
レビュアー:美奈子さん

某所から吉助さんをお招きしました。ほんとは彼の正体を知っているのだけれど、今回のコンセプトから、匿名での連載です。「大人になっても消えない内なる少年たち」が、誰に咎められることもなくそのままで過ごせる場所。とかく窮屈なことも多い浮き世の日々ですが、だからこそ、ネットに漂う「アパートメント」は、住人さん誰もが思い思いの在り方、過ごし方でいてもらえる空間にしたいな、と改めて。レビューは美奈子さん。奇しくも連載時のエッセイはanonymousとonymous、匿名と顕名を巡る8つの物語でした。日常生活の中で豊かな驚きと考察を重ねる彼女の眼差しは、少年の部屋に何を見るのでしょう。(鈴木)

〈水曜日〉
ライター:森田智博さん
レビュアー:小沼理さん

考えたら長い付き合いになる森田さん。パフォーマンスの演奏をお願いしたこともあるヴィオロニストでもいらっしゃいます。ドイツの舞台芸術についての話をいつか訊きたい、語りたいと思っていたので、今回こうして身体と日常の身辺をめぐる考察を読めることが嬉しく、この先も連載も楽しみです。

今回小沼理さんには森田さんのレビューをお願いしました。小沼さんは、レビュアーさんを募った第一回目からずっとどなたかのレビューをしてくださっているのです。ライターさんが書いたものを読んだ時に胸に生まれた感覚を、するりと解きほぐして言葉にしてくださる。そこからの気付きも多く、本文とともに毎回非常に楽しみなレビューです。(朝弘)

〈木曜日〉
ライター:唐木みゆさん
レビュアー:はらだ有彩さん

今回レビューを担当くださっているはらだ有彩さんにご紹介いただきました。アミニズムや民話、宗教のことがお好きで絵にされていると伺ってわくわくしながらお願いしました。「悪魔について」で始まり、「美についてがそれに続く、そのはじまりに私はもう魅了されてしまいました。

はらださんのレビューはまたひとつのコラムのようなのです(例えば「美について」へのレビュー)。(コラムのよう…といえば、はらださんのコラムのレビューを担当くださっている本さんのレビューは小さな考察論文のようでありますが…。)このように読み物がよみものを呼び、自分の思考が呼ばれてゆくのが大変に興味深く、毎週楽しみにしています。(朝弘)

〈金曜日〉
ライター:百瀬雄太さん
レビュアー:淺野彩香さん

とある方から以前お引き合わせいただいた百瀬さん。それまでも世界と自分の間のことや、言葉や思考に対する真摯なまなざしに惹かれていた方でした。ちょうどそんな時に管理人の鈴木も百瀬さんを気になったようで、これは縁なのではないかな、とお誘いしました。

百瀬さんのことばを読み解いていただきたい方として真っ先に思いついたあやかさんにレビューをお願いしました。透徹したまなざしや、どこか遠くで響く音に耳を澄ませているおふたり。毎回のコラムとレビューを読むにつれ、深層に足を踏み入れゆくような心地がします。初回コラムから是非お読みください。(朝弘)

〈土曜日〉
ライター:藤森詔子さん
レビュアー:猫田耳子さん

大学時代からの友人である、画家の藤森詔子さん。彼女の個展で久しぶりに再会した勢いでお招きしました。むき出しの肌にサイバーな衣装、浮世離れした独特の画風に対し、本人も負けず劣らずのマイワールドを持っており…今回、その脳内を覗いてみられるチャンスです。レビュアーは猫田耳子さん。「趣味が無い」と言い張る彼女も彼女で、極めて狭い分野に偏愛を注いでおり…何が生まれるもんかと引き合わせてみた次第(鈴木)

〈日曜日〉
ライター:maitrīさん
レビュアー:森山良太

ベーシストとしても活動しているmaitrīさん映像とピアノを中心とした音楽を寄せていただいています。足で歩いて届く範囲の揺らぎ。身近なのに踏み外した足を着地させられない底の深さに気が遠くなるようなそんな瞬間をみます。(森山)

2.現在開催中のイベント・展示のご紹介
現在開催中のイベント・展示をご紹介します。

もうりひとみさん
2015.10.17 〜 2015.11.01
いのちはいつも かろやかにはねる

早川 純さん
2015.10.17 〜 2015.10.21
Paris発、新世代タンゴの幕開け HAYAKAWA TERUGGI TRIO 10月初日本ツアー

藤田莉江さん
2015.11.01 〜 2015.11.07
「おきてがみ それから、」

 

  1. 3. 管理人のつぶやき

新しい地で生活を始めて1年と2ヶ月が過ぎました。言葉も情報も人との繋がりもまだ不自由なく動けるほどには積み上げられていないのに、それは何の言い訳にならないのだ、ということをひしひしと感じるこの頃。自分が日本でやっと得たもののことを考えると呆然とするほど遠い道のりです。

夏あたりから内側を耕そう、などという口実を作って、外に出ることに少し臆病になったのですが、自分が動かなくなると途端に縁というものは遠ざかってゆくことを実感しました。

自分が何を選びたいのかということについてはもう迷わない。それなら恐れずに、怠らずに行動しないとなと思いました。

秋はからだの熱も冷めて、足取りもゆっくりになって、感じ直したり思い返したり深く潜ってゆく季節ですね。

寒くなってゆきます。美味しいものを食べて、どうぞご自愛ください。

(朝弘)

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先月号の冒頭でお伝えしました常総市の水害によるお米農家山崎さんの稲刈りの応援に行ってきました。

広域にわたり通行止になっているところが多く、またその影響で主要道路が渋滞しており、たどり着くまでにも一苦労でした。鬼怒川を越えるとあたり一面、白茶色に覆われ、たちこむ砂埃の中、警察・自衛隊が交通整備にあたっていました。田植え、草むしりとお手伝いをさせていただいた田んぼも、まるで枯れ草の草原のように泥水に浸かった後の稲穂が傾いていました。先の震災をはじめ、天災の現場を目の当たりにした経験のない私にはとてもショックな光景でした。

方々から集まった40名を超える助っ人の皆さんと一丸となって手作業で刈り取り、やっと田んぼ一枚をほとんど刈り取ったところでその日の作業は終わりました。

もちろん田んぼはそれだけではなくまだ他にもあり、ようやく先日すべての稲刈りが終わったそうです。そして気になっていたお米の味も良いとのことで安心しました。しかしながら水没により故障してしまったコンバインや脱穀機、出荷できなくなってしまったお米など、その被害は深刻であったろうと想像します。

今期の当番ノートのライターさんである唐木みゆさんにもお手伝いいただきました。声がけに集まってくださった皆様に感謝いたします。

今回は田植えや草むしりの時のように「体験してみたい!」という動機ではありません。では自分自身のこともままならない私がなぜ動いたのか。それは今になっても分かりません。割り切れないことであるという前提があったとしても、寄せられる言葉の候補さえ見当たらないのです。得手不得手のところもあるかもしれませんが、こうした「体験を通しても言葉に還元できないこと」というのは時々起こります。誰の言葉だったかは忘れてしまいましたが、恋人に好きな理由を尋ねられ、「私に心があるから。」と答えたということと近しいかもしれません。心とはなんとも不可解なものです。

自分の耳に届く範囲の人から応援や助けを求める声が聞こえるということは稀なことだと思います。もし、その声に身体が動こうとしていたのなら、その微動を感じたのなら、無理なくできる限りで動いてみようと思います。まずはその必要を確認するところから。になりますが。

(森山)

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ここしばらく謎の繁忙期で(まだまだ続きそう)、朝から晩まで仕事を千切っては投げ千切っては投げしても全く終わらないどころか次の仕事が降ってくる始末でえらいこっちゃな毎日です。帰りの電車でぼんやり読む「アパートメント」の記事が一服の清涼剤です。みなさんご自愛ください。

(鈴木)

 

 

  1. 4.あとがき

あとがきは東京の森山です。こちらはすっかり衣替えも終わり、羽毛布団を引っ張り出してきました。
今月末はアパートメントの管理人会議が二回予定されています(一人はパリなのでSkypeですけど)。

より親しんでもらえるウェブマガジンになれるよう、しっかり議論したいと思います。
皆様も風邪など召されませぬよう、ご自愛くださいませ。

アパートメント管理人一同