庭師通信4(アパートメントの誕生日に寄せて)

管理人の部屋

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5年前の今日は、アパートメントが出来た日なんですよ。
その前の年の10月に「いとでんわ」として発足した場所が「アパートメント」として生まれ変わったのが2012年の2月1日でした。
これまでたくさんの方に住んでいただいたり、訪れていただいたり、お手伝いしていただいたりして、5年も続けることができました。
本当にありがとうございます。

去年はアパートメントの管理をお手伝いしてくださる方も増え、改めて、アパートメントらしさとは何だろう?と考える時間がありました。
6年目はそのことを大切にしながら、ちょっと変身もしてゆきたいと思っています。

 
最近読んだ多和田葉子さんの本の中で「空間という容器があってそこに物が入るわけではなくて、物の存在そのものが空間なのだ」という音楽家のヴァルター・ヘンドリッヒのことばが引用されていました。
つまり、もともと存在する空間を演奏された音楽が満たすのではなく、音が演奏される/ある考えが浮かぶということは、そのもの自体が空間を生み出す、空間になる、ということなのだそうです。

これを読んだ時に、アパートメントのことを思い出しました。
建築物としてどこかに建っているわけではないアパートメントですが「ある考えが浮かぶということが空間を新たにつくる」ということであるならば、まさに住人のみなさんは、ご自分の根に潜り、過去を旅し、感覚を結実するということでこのアパートメントに空間/お部屋を作っているのではないかというふうに思います。
そしてそれを読みに来て下さるみなさんが、またその空間を色付け、膨らませ、もしかしたら新たな空間をつくっている。
この5年間アパートメントは、そんなふうにして増築されていったのでした。

ひとつひとつの部屋が豊かにそこにあり、ときどき触れ合ったり変化していったりする場所でありたいと思っています。
これからもどうぞよろしくお願い致します。

アパートメント庭師:朝弘佳央理