〝おこたちゃん〟とのやりとり。

長期滞在者

イガラシタカヒロ 以下、イ” 双子ちゃんは元気?
おこたちゃん 以下、お” お豆ちゃんずも元気だよー。
イ” そっかそっかー。前もちょっと聞いたけど、子供を産んでから変わったことってある?
お” んー自分を見る目かな。ずっと劣等感が心の中にあって、どこにいてもなんとなく怖かったり、ここにいちゃいけないような感じがあったけど、二人をお世話していくうちにそれがドンドン小さく薄まっていった。それで、〝あ、わたし大丈夫だ〟って自分で思えたことが一番変わったことだと思う。もちろん日々いろんなことがあるし、自由な時間はほぼないから決して楽じゃないけど。それまでは子供も欲しくなくて、恋人はいても、一人で自由に生きていこうと思ってたから。夫婦や家族ってものにやや疑い深く思っていたくらいだし(笑
イ” へえ、一人で生きていこうって思ってたの意外。
お” あ、意外?(笑 結構ずっとそうだよ。大事なものを失ったときに、それは強く思ったかな。
イ” 大事なもの?
お” 大事なもの、、は、そうね、これはずっとタカヒロさんには話そうかなって思ってたことなんだけど。大事な人と別れたとき、永遠なんてないんだなって思ったんだよね。ずっと大切にしてたいと思っていた関係が、もう喧嘩もできないくらい遠い存在になっちゃったっていうのが、ものすごく身体にきて(笑
私たち含めて皆でずっと仲良かったから、なんかその世界も失った気がしていたし。で、そのとき、自分に劣等感がある限り、きっと誰ともちゃんと向き合うことができないだろうって思ったの。だから一人で強く生きようと、固く思ったんだよね。
イ” そっか、やっぱり大きく人生を変えた出来事だったんだね。んー、劣等感かあ。すごく存在感あるよね、ヤツは(笑
お” 劣等感はね、やっかい(笑 でも、もがいたからこそ見える景色もあるから人生って面白いよね。毎日生々しく自分の描いていた未来とは違う状況にまみれていると、自分の過去を散々考えて、失ったものも得たものも、一周回って肯定というか、お腹にストンと納得して落ちた感じがあるな。それはすごく大きい。
イ” 劣等感の原因みたいなものってわかったりした?
お” 言葉にするのは難しいけど、、十代後半からずっと自分と外側とのギャップに苦しんでたから、そこからきてるのかな。自信がなにも持てなかったから。
イ” 自分と外側とのギャップって俺も感じる時があるなあ。俺がすげー面白い!とかこれは大切だ!って思ったりすることが、周りからするとふーんって感じで(笑 ズレてるのかな?って、ちっちゃい頃から感じてて、それは今もあまり変わらないんだけど。その感覚に近い?
お” うん、近いものもある。あとは幼少期から割と大人に囲まれて育ったから、自分がしたいことを素直に表現しずらかった経験もあるかな。思春期を過ぎて、自分の意思で選択できるようになったとき、今までと随分ギャップがある世界をみたいって思った。そのとこに一番びっくりしてたのは自分だったから、うまくアクセスできなかったんだと思う。
下手だったなあって今なら分かるけど、そのときはもう必死だから(笑
イ” そういうことかー。選ぶときになって、自分の意思にギャップを見出すってなんか不思議だね。その頃にうちらは出会ってるのかな?当時、随分大人っぽく感じてたなあ。25くらいだと思ってたもん(笑 実際は18なのにね。
お” あの頃は真っ只中だったよ(笑 でもタカヒロさんたちと遊んだり、話したりするのにかなり救われてたと思う。皆どっか変で、意外と深い部分はなんにも知らなかったりするんだけどね(笑 彼はその中で私の灯台みたいな人だったし、親友で、お父さんで、双子みたいな感じだったんだよね。変な話、今でもそう思うよ。
イ” そうかあ。うちらの関係性ってなんか不思議だよね。付き合い長いし、きっとそれぞれの大事な時期を一緒に過ごしているはずだけど、深くは知らないっていう(笑
でもこうやって時間が経って振り返るとすごく感慨深いものがあるなと。裏でいろんな想いが渦巻いている中、表面ではいつも通りの皆がいるって感じで。一見、浅い付き合いのようだけどそんなことなくって、それは当事者たちにしかわからないものがあるなって。
お” 面白いよね(笑 表層的には皆いつも変わらない(笑
イ” ね、俺はアパートメントでその内側をみたいなって思って皆に声かけたんだよね。〝やりとり〟もそう。皆それぞれ、っぽかったし、意外な面もあったり、楽しかったなあ。
お” インタビューって面白いよね。私も前にちょっとだけやったことあって、すっごく面白かった。意外と1対1で話さないと語られない言葉ってあるよね。でもこの間、また皆に会えて嬉しかった。彼はまた違う想いがあるだろうけど、、大切なのは変わらないな。たぶん一生そうだと思う。大事な人ほどむずかしいよね。一生わからないままかもしれない(笑
イ” 人と向き合うってすごくむずかしいよね。俺も仕事柄そう思うし、、写真するときにすごく意識してるところでもあるんだけど、、。
子供が生まれてから腹が据わったっていってたじゃん?それは身ごもってから?産んでから?その二つに気持ちの違いってあった?男はいくら足掻いても子供産めないからその心境を聞きたくて。
お” 腹が据わったのは、ほんとに最近かな。妊娠中はつわりとか体型が変わったりとか、変化についていけない時もあったし、かなり悩んだよ。よく育児雑誌とかにある〝妊娠出産で女性は幸せ〟とか嫌いだし(笑 でも〝お腹にいる時からこの子達の人生は始まってるんだ〟って思えた頃から変わってきた。
なんかね、5ヶ月くらいのとき、毎日ものすごく幸せだったの。あんな穏やかな、たおやかな気持ち、味わったことなかった。すごく不思議な感じだったよ。身ごもったときと、産んだ後では明らかに気持ちは違うと思う。産んだすぐ後は〝本当に取り返しのつかない大変なことをした!〟って結構パニックに近かったよ。
イ” 責任感が半端ないもんね、、
お” うん。でも全力で生きようとして、少しづつ成長していく姿をみて、私がふらふらしてたら守れないって、みたことないエネルギーが湧いてきた。ものすごいストレスと癒しが同じ場所から来るってなんかすごいよ(笑
イ” 確かに、この前みてそう思った。モゾモゾ動いて、ギャンギャン泣いて、キャッキャ笑って、スヤスヤ寝て(笑 それを毎日一番近くで体験してるんだからすごく影響受けそう。二人の人生をはじめさせた張本人だしね。
お” うん。人生を預かってると思ったら、自分の気持ちとかどうでもよくなった。私の人生が子供たちに左右される時間があっても、彼らの人生を良いものにするお手伝いをしなきゃって。いつか親から離れていくとしてもね。
だから自分の両親に対しての思いも変わったよ。ものすごい忍耐の中でここまで育てられてきたんだなって。
赤ちゃんって、生まれたばかりでもちゃんと伝わるし、彼らのリズムがちゃんとあるの。最初ただ辛かったのが、徐々に面白くなってきて。彼らのリズムがどんなものか、何年もかけて教えて貰おうって思うようになった。習うでもなく試行錯誤して育児をするのはかなり孤独だけど、同時にすごく強くもしてくれてると思う。
イ” このまえTwitterで『何者でもない、ただのひとりの母親で、自分が夢見た姿より至ってシンプルな姿。でもそこで始めて見えた自分は、思っていたよりずっといい感じだ。』っていってたじゃん?すごく興味深い言葉なんだよね、今の俺にとって。
お” 昔はね、頭の中では舞台に立って拍手とかされてるんだけど、現実は朝七時の満員電車みたいな(笑 こんなのやだ!ってずっと逃げ回ってたんだけど(笑 それに比べたら、ひたすらオムツとミルクにまみれた育児はかなり地味だし孤独なんだけど、今立ってる場所を受け入れて腹を据えて取り組んだときに、〝あれ?なんか悪くないな、むしろいい感じじゃない〟って思えてきたの。
イ” なるほどー。俺の話になるけど、、今は表現者の枠から外れることをすごく意識していて、、それは、ぼくらはアートの戦いをしてるわけじゃなくて、人間の戦いをしているっていう思いが強くて、、〝わざわざ〟掘り起こしたり〝わざわざ〟残さないと消えてしまう何者でもない個人の経験や想いって、本当に本当に本当に愛すべきものだって思うんだよね。アルバムはその象徴のような存在で、、。
お” そうだよね。表現者の前に、まず人間だもんね。基本からはやっぱり外れられない。飛び越えたくなるけど(笑 タカヒロさんのものづくりの背景には、いつも家族や人とのつながりがあるよね。小さいとき楽しかったんだなって感じがする。その思い出って強みだよね。
イ” きっとね。今のところは誠意をもって取り組むってことしかできないんだけど。てか、話のポイント、ズレちゃった?
お” ズレたかな?広がったんだよ、きっと(笑
イ” あー(笑 じゃあ、そろそろ最後にしめてもらおうかな(笑
お” んー、がんばる(笑
イ” がんばる(笑 
お” (笑 
イ” ありがと!
お” また遊びにきて!お豆ちゃんずも楽しみにしてるよー!
イ” またみんなで遊びいくね!

oco