“タカギタカシ”とのやりとり。

長期滞在者

タカギ 以下、タ” なにについて話したらいいですか?
イガラシ 以下、イ” なんでも。なに話たいっすか?
タ” なんだろう。大体どのくらい話してるの?
イ” あー人によって、、お茶しながら大体2、3時間話して、その中からしっくりくるところを切り取ってるって感じっすかね。
タ” 大変だね。
イ” むずかしいところなんですよね。あまり対談ぽくしたくなくって、おしゃべりを盗み聞いてるって感じにしたいんすよね。
タ” あー。
イ” ある種の気持ち悪さを感じてほしいというか。
タ” うん、気持ち悪い。ちょっと読んでて気持ち悪るかった(笑 それ狙ってるんだろうなあって思ってたけど。
イ” そう、その気持ち悪さって、きっと、身内感が出過ぎてるからで、そこには自分たちと他人たちっていう隔たりがあると思うんですよ。でも結局その気持ち悪さを感じてる人もどこかの身内で、そういう小ちゃな身内の集まりで世界は成っているように思うんですよね。傍からみたらみんな気持ち悪りぃんだよって(笑 まあ、みんな違うけどみんな同じだねってのを、ちょっと裏テーマでつけてるんですよね。
タ” ああ、なるほど。そういうことか。
イ” わかりずらいすけど(笑 今回のシリーズは密かに楽しんでる部分がけっこーあって。まあ、そのひとつ。少しづつ広げていくつもりですけど。
タ” なんかみてて、普通だったらその気持ち悪さを消して、共感できる部分を書くほうがいいのに、なんでだろうなあって思ってた。なんか意図があるんだろうなと思いながら。気持ちわりって(笑 
イ” そう、不快感をおぼえる人もいるんじゃないかなって思うんですよね。ただ、今回だったらタコさんを巻き込んじゃってるわけじゃないですか?だから全く読みものとして成立しないものにはしたくないなっていうのはあるんですよね。
タ” ああ、そこらへんが微妙なところだよね。まあなんだかんだおれは読まされちゃってるけど。
イ” そう、ちょっとむずかしいんすよね。

タ” えー、ぢゃあなに話そうかなあ。えっとねえ、ボランティア、、やっぱね、人誘うのむずかしいなあって。
イ” ああ確かに、それはね、わかりますわ。
タ” 誘うっていうかね、誘う前段階で、、例えば、気軽に言ってるんだけど深刻に受け止めちゃう人とか、あと、なにがしたいって聞いてるのに経営状態を心配する人とか(笑 あとはまあ、あんま興味なさそうな人に分かれてて。もっと写真の人とかは興味持ってくれるかなって思ったんだけど、意外にそうでもないなあって(笑 
イ” そっかー。
タ” でも最近そうだよなって思った。おれはボランティアに行って、理事の人と話をして、共感したから、、共感できたからおれの中でそこの写真もっと撮りたいとか広がっていくけども、共感しなきゃしょうがない。共感はしてくれてるんだけど、共感の仕方が違うよね。おれは元々そこ出身だし、ボランティアの人たちは実際そこに行ってる人たちだから。
イ” まあねー、住んでる人たちですもんね。
タ” 一回行ったら違うんだろうけど、、行くまでがね。
イ” 前にゆきちゃんが言ってたあれ、なんて言ってたっけっかなあ。
タ” 自分が自分の地元に思い入れっていうものがないから、その気持ちがあまりわからないって。
イ” そうそう、ゆきちゃんのああいうところって見逃せないなって思ってて、けっこー的を得てるなあって思うんですよね。
タ” うんうん、わかる。おれも震災起こるまで思い入れなかったから。
イ” あーそうなんだ。
タ” そうそう、まったく思い入れなかった(笑 
イ” そうなんすね(笑 
タ” なくなれ!くらいに思ってた。
イ” ひでーな(笑 
タ” だって帰っても全然面白くないし、、まあ飯はうまいけどさ。
イ” ああ、まあまあ。
タ” けど、そうだね、、喪失感がすごかったんだよね。岩手とか宮城とかのほうはわかんないけど、あそこも地震でけっこー被害受けちゃってて、沿岸部とかはもう流されちゃってるから、昔自分が暮らしてたところがなくなっちゃってたり、、喪失しちゃってることには変わりないから、そのあたりの地域の人たちは同じ気持ちなんだと思うんだけど。
おれの場合は事情が少し違っていて、地震で削られちゃってるところもあるんだけど、岩手宮城に比べるとけっこー原型残ってて、、やっぱり原発だよね。過去の福島と今の福島は見かけ似てるけど、違っちゃってるんだよね。分割されちゃってて。泊まったときに、過去の自分を喪失したような気がしてすごくショックだったんだよね。
だから、過去の自分を求めてるのかもしれない。やっぱ人って、順々に積み上がってゆくっていうか、過去の自分があって今があって。
イ” うん、そうですね。
タ” それがいきなり過去がバーンてなくなっちゃって、急に愛おしくなっちゃって。今でもそこに行けば同じ風景はあるんだけど、どこを見ても違って見える。なんとかしたいっていうか、そこにいる人たちの気持ちを取り戻すことによって、そういうものがまた蘇ってくれば、、
イ” 再生させたい、、
タ” そこに繋がっていく気がして。そうだなあ、ゆきちゃんじゃないけど、震災にあったときに多少なりともそういう気持ちが生まれる、、
イ” のかもしれないですよね。人って、、不思議なもんというか、単純といえば単純なのかもしれないんですけど、ホントそうならないとわからないですよね。どんなことにも言えるんですけど、それは自分も感じてて、、自分の場合はきっかけが震災ではないんですけど。
タ” ああ。
イ” だから、なんかこう

(珈琲が運ばれてくる
イ” あ、ありがとうございます。可愛いカップ。

イ” あ、そういえばいわきノート。あれの感想読んでわーと思いました。
タ” わーと思いましたか。あのお母さんみたいな人、多いと思うんだよなあ。
震災が起こって毎日の生活がいろいろ大変になって、避難所での生活から仮設住宅に移って、それでもなかなか大変で、その中でコミュニティ作っていって、いろんな支援の人が来て、毎日違う世界があって、良い方向に向かってきて、だんだん落ち着いてきて、「落ち着いたんで、あとはまあなんとかやってください」ってなったときに、はあーって落ちちゃうっていうね。
で、うちの父親は別に仮設住宅に住んだわけじゃないけど、震災前は多少の楽しみがあったんだよね。庭いじりしたりとか、料理ほとんどしないんだけど、麺類だけはおれがつくるみたいなプライドがあって(笑 正月も餅作ったりもしなくなったし、神棚にお願いしたりもしないし、ほんと家にいるだけになっちゃって。
イ” いまってもう定年してるんですか?
タ” もう10年くらい前に。
イ” ああ、そうなんだ。
タ” これからどうしたらいいんだろうっていう気持ちの人がすごく多くって。あとは、そのお母さんみたいに、震災がなかったら出会えなかった人もいるし、いろんなことがあるんだからそれを大事にして生きていこうっていう人もいるかな。
イ” その考え方に至るのってなかなかすごいですよね、、
タ” そのお母さんはもともと人付き合いというか、人に恵まれてたのかもしれないなあって。父親友達いないし(笑 人信用してないし(笑 
イ” そっかー(笑 でも、うちの親もそうっすもんね。まあ、親父はけっこー趣味とかもあるんですけど、お母さんのほうは無趣味だし、村からも引っ越しちゃったんで友達もいないし、ばあちゃんも亡くなっちゃって「することなくて淋しいんですけど」みたいなメールもくるようになって。おれとしてはできるだけ頻繁に帰ってあげることくらいしかできてなくって。だから近くに住んでる兄弟、、なんとか!って思うんですけど、近くに住んでたらまたそうは思わないんだよなあとか(笑 なんか複雑な気持ちでいるんですけど。

タ” テレビでみた仕事人間だったおじさんの話なんだけど、野菜とかつくるの好きで、でも震災のあともうなにもしなくなっちゃってて。で、埼玉に避難してたとき、そこで畑をつくって、そこの畑を管理するリーダーみたいな人に抜擢されて、そしたら急に元気になっちゃって(笑 
イ” へーなるほどー。
タ” 役割を与えると元気になるっていうね。
イ” 役割ね。役割っていいのかもなあ。うちのお母さんとかみてると思いますね。やっぱり、ばあちゃんの介護にしても孫の世話にしてもブーブーいいながらもそれが活力になってたんだなあって。
タ” うちの母親も最近いきいきしてたのって姉ちゃんに子供ができて、年子だったからふたりとも元気でさあ、もうねえ、姉ちゃん看護婦だったから預けていくわけ、そうするとがんばって世話しててさ、忙しいとか文句言ってたけど、すごい嬉しそうだった。
イ” ですよね。まあ孫は特別か。んー、うちは新潟で近いし3ヶ月に1回くらいは帰ってあげたいなあ。
タ” おれも、もっと頻繁に帰りたいんだけどねえ。もしも、いまの状況を、、あ、いまの状況まだ親に言ってないんだけどね。
イ” ああ。
タ” 鬱で休職してるって。言ってたらそれこそ、向こうに1ヶ月くらい帰っちゃって、そうすればボランティアもやりやすいし。
イ” そうっすね。
タ” まあ、元気になってきたからそろそろ言おうかなって思ってるんだけど。
イ” うんうん。
タ” ちょっとうまくまとまってなくて変なこというようだけど、自分が鬱になっちゃって困ってたときは親に頼れなかったのね。自分の親がすごく頼り甲斐があって、相談したら「大丈夫だよ、そんな仕事やめちまえよ。他の仕事すればいいじゃねーかよ」て言ってくれるような親だったらいいんだけど、うちの父親はほんと心配性で、おれよりももっとひどい状態になっちゃうんじゃないかって(笑 心配性だから言えない(笑 
イ” そうですよね(笑 
タ” 母親は愚痴とか言うけど、そのへんはわりとしっかりしていて、しょーがねーよって感じなんだけどね。
イ” お父さんがね(笑 
タ” そう(笑 
イ” まーねー。
タ” でもおれもある程度元気になってきたから、逆に頼っちゃおうかなって。さっきの話じゃないけど、まだ息子は自分が支えてやろうみたいな、助けになってやろうみたいな気持ちになれば、なんか生きがいになってくれたら、んで、ボランティアやってるんだったらおれも力貸してやろうかなみたいな気持ちになってくれたら。
イ” あー、それはいいかもしれないですね。
タ” いま、そんなことを考えはじめていて。
イ” なるほどね。
タ” おれも今がんばろうとしてるから、手かしてくれって、話をしようかなって。
イ” うん、いい気がしますね、そういうのも。まあ、タコさん、、休職中だけど普通に生活できてますもんね。
タ” それはね、そういう意味でいうと、ある程度でかいとこに勤めててよかったかな。
イ” そうですよね。なんか信じられないっすもん。タコさんの状況が。なんて羨ましいんだって(笑 
タ” 人からみたらそうだよね(笑 少し前まではほんと家でずっと寝てたから、羨ましいとは言えないかもしれないけど、ここまで回復して、給料3分の2くらいもらって。
イ” たぶん、おれよりもらってんだろうなって(笑 
タ” いや。
イ” いや、絶対もらってる!(笑 
タ” でも、家賃に消えてるから。
イ” いや、それはおれも家賃に消えてますから(笑 
タ” (笑 
イ” そうこのまえアメさんとふたりで言ってたんすよ。いままで相当貰ってたんだぜって(笑 
タ” (笑 まあ、ほんと辞めたら退職金もでるしね。
イ” だってもう仕事に未練ない感じですもんね?
タ” ないない。まったくない。絶対違う仕事する。
イ” だったら全然いいっすよね。
タ” わかった。あそこにいたからおれはおかしくなった(笑 おれのせいじゃない(笑 
イ” そうだそうだ(笑 いやでも環境はでかいっすよね、やっぱり。
タ” うん、まあ。でもそういう向いてないところを選んでしまった自分も悪いんだけど。
イ” んーまあまあ、でも
タ” んーそういう時期ではあったんだろうなあ、仕事をどう選ぶかって、、今でも難しいけどさあ。あの頃は親の考えがまだ生き残ってるけど、ズレも生じ始めてた時期で、あの、仕事っていうのは食うためにやるもんであって、
イ” やりがいっていうのは置いておいて。
タ” やりがいなんていうのは、、親父達にとっては食えることがやりがいだったんだろうね。
イ” あー確かに。まさにですね。うちの親父もモロそれっすね。
タ” おれも41くらいまではめちゃくちゃ働いて、ほんと仕事好きだった。
イ” 確かに会ったときって仕事に燃えてたイメージありましたね。
タ” その前は嫌いだったんだけど、急に好きになって、それも役割を見出した、、これ話してるかもしれないんだけど、、
自分の役割をみつけて、、自分が頑張ると、自分の下の後輩、部下も働けて仕事がもらえて生活できて、次の世代の役に立ってるんだって実感して、じゃあ、目の前のこういうソフトつくって〝なんだよ全然役にたたねーじゃねーかよっ〟とか思っても、そういうふうに役に立ってるんだったらいいじゃんって割り切ったときがあって。そう考えたら楽になって、働き出したんだけど、、ちょっと無理があったね、強引すぎた(笑 
イ” 意味づけが(笑 
タ” ズレちゃった(笑 でも、そう信じて働き続けてる人多いと思うんだよ。
イ” うん、もちろん間違いではないですよね。
タ” 世の中の大半はそれで動いてるといってもいいよね、、家族人は家族を守るために納得できないことでも必死に働いて、そういう人がいるから世の中まわってるんだけろうけど。
イ” みんながみんなやりたいことやるって言いだしたら大変なことになりますもんね。みんながミュージシャンになる!とか言いだしたら(笑 
タ” でも、納得してやれる人と、納得してやれないタイプがあるよね、人によってね。
イ” そうですよね、まあ、向き不向きはありますよね。なんか、、生きることに不向きな人っているじゃないですか。でも、それもやっぱりひとつの生き方だなって、そこを認めてかないと先に話が進まないというか。
タ” そうだね。
イ” みんながヒーローになれるわけじゃないじゃないですか。そのヒーローっていう意味合いの大小の差こそあれど、、悲しい話っすけどね。でも、大事かなって。
タ” ヒーロー?
イ” あーおれの場合でいうとたぶん音楽のときかな。まあ、あまりにもしょぼいはなしなんですけど(笑 で、まあ、自分はロックスターになれないっていうのを自覚したときというか、、
タ” え、ロックスターになりたかったの?
イ” あ、そう。もともと音楽で東京きてますから。
タ” あー、うん、それは聞いたことある。あるけど、有名になりたいって願望はあった?
イ” あーはいはい。ありました。
タ” え、そうなんだ。
イ” ロックスターかポップスターかしらないっすけど(笑 
タ” え、地道にいい曲作れれば、、みたいなそういうんじゃないんだ?
イ” そんなスマートな感じじゃないっすよ。もう、馬鹿まるだしっすよ(笑 
タ” あ、そう(笑 
イ” まあ出てきて早々に挫折してるんすけど。ただ、そのときに、みっともないくらいの高いプライドをズタズタにできてよかったかなって、、
タ” それはよかったねえ。
イ” よかったと思います。あのプライドを持ち続けてたらいまの自分はないと思いますし、ろくな人になってないと思いますもん(笑 なんか変に世の中を恨んで(笑 おれは天才だって言いつづけて(笑 
タ” なんで誰もわからねーんだって(笑 
イ” やー、紙一重だったと思います(笑 だからあの自分がこうなれたって思うと、人って意外と変われるんだなって思ってるんですけど、おれは。まあ、根本は変わってないですけどね、きっと。
タ” 根本なんてひどいもんだよね、人間(笑 
イ” 思います思います。そう、根本なんてひどいもんすよ。ポンコツもいいとこっすよ(笑 
タ” なんとかこう自分で
イ” そうそう見繕って
タ” 足りないところを補ってなんとかこう形に
イ” そうっすよ、そう、それが人生っすよね(笑 
タ” ひどいもんだよ。自分の思い通りにいかないと、悲しいし(笑 
イ” でもまあ、そういうどうしょうもないところがあるから人って可愛らしいなって思いますよね、、、とか言って(笑 
タ” でも、そう思う。

shimakuro