夢のまた夢、とは

長期滞在者

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友人のひとりが写真館の息子だったらしい。おかげでアルバムにはたくさんの写真が貼られていた。その写真館は夜になると(親には内緒で)ダンスフロアとして開放したりなんかして、当時流行っていたブルースを夜通し踊ったもんだと、愉快そうに話してくれた。

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記憶を遡る。

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仲間たちとドンチャン騒ぎした日々のことだったり

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二十代半ばで恋人と心中してしまった親友のこと

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戦時中、はなればなれになり遂に再会できず終いだった初恋のひと

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クソッタレの戦争

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弟を戦地に送り出したときのことや

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帰ってこなかった友人たちのこと

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今なら簡単に治る病気が原因で八つのときに亡くなった歳の離れた妹のこと

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情け深い母に

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真面目だった父のこと

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今回協力してくださったおじいちゃんは現在九一歳。これらは七十年近く前のこと。写真の中の大部分の人はもうこの世にいないことを、寂しそうに、だけどもその全てを納得したような偉大な眼差しで話してくれた。

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「過ぎ去ってみれば全て夢みたいなもんだ。」

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そう呟き、もう一度、写真に目を落とす。

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そして

「でも、まあ、どうせみるなら愉しい夢のほうがいいやな。」
そう言って、ケラっと笑った。