展示のはなし。

長期滞在者

 
はじめて展示らしい展示をしたのは2006年のボクラノトウキョウ展だろう。
ハル君とのふたり展。
お互い写真をはじめてから2年くらい経った頃だった。
タイトルからわかるようにぼくたちが思う東京を展示した。そして作品を観るとわかるように東京のなんにも表現できていなかった。
なぜ撮り、なぜ展示するのか、わかっていなかったんだと思う。

ハル君とは18歳からの付き合いで、どちらともなく20代半ばからなんとなく写真を撮りはじめた。いま当たり前のようにまわりにいる友人たちと出会うずっと前、ぼくらはふたりきりだった。写真をやっている知り合いもなく、お互い独学で気の向くままただ撮るだけ。「1年に1度くらい、ボクラノ~シリーズを続けられたらいいね。」なんて話していたのが今ではとても懐かしい。そして続けていたらそれはそれで面白かったような気もする。

そうしていくつかの展示をこなし、その前後にはお互いの考えをぶつけ合った。
翌年のボクラノフルサト展を開催する頃には、少なくともなんのために写真を撮るのかは頭の中にあった。
ハル君は心の中にある原風景、自然や地元などを撮りはじめ、ぼくは複写やコラージュを使い人物を撮りはじめた。

その後、ぼくらは一緒に展示をしていない。

共に活動しなくなってからも各々で展示をし、会えばひたすら何時間も写真のはなしをした。
あの作品は果たしてなんだったのか、いま撮っているシリーズをどう展開していこうか、これからどこへ向かってゆけばいいのか、、自分の頭と心を整理するために彼と話をしたくなることも多々あったし、その効果は確かにあった。
写真のはなしは、ほぼ人生のはなしと同義語だった。
似たもの同士のふたり。なのに正反対のふたり。
ぼくを理解しているかどうかは別としても、ぼくを一番知っているのは彼なのかもしれない。なんにしても色んな意味で大きな影響を与えてくれているひとりに違いない。

本日より広尾のインスタイル・フォトグラフィー・センターで展示がはじまった。
個展ではなく、グループ展だ。
今までの中でも特に思い入れの強い展示となっている。

6年前、ハル君とふたりで
真っ白なギャラリーの壁に釘を打ち
なんだかわからないけどそのわからないものを捉えようと、己の作品と向き合ったときのように
ぼくだけの声ではなく
大きな塊となってこそ捉えられるものがあると信じて、この展示と向き合いたいと思う。
そこからまた新たな自分自身や、家族や、恋人や、友人や、名前も知らない誰かの想いに触れることができるような気がするから。

【告知】
‘1OST GENERATION PHOTOGRAPHY 展
10/29(月)~11/11(日) 
13時~18時
レセプション 11/10(土)
インスタイル・フォトグラフィー・センター
東京都港区南麻布5-2-9 B1F
http://www.instylephotocenter.com/