終わりのときに見るもののはなし。

長期滞在者

 
中学生の頃のぼくは怒りと悲しみに満ちていた。
そういうふうに言えば聞こえもいいが、実際は単に不平不満が多いわがままな少年だったに過ぎない。
とにかく、それが〝もっと俺をみてくれ〟的なしょうもない甘えからくるものだとしても
実際に苦しんでいたのは確かだった。
当時、楽しそうにしている同級生を憎んでいた節すらある。
ぼくにとっては、強くみせ、着飾り、威圧し、征服することこそ最大の攻撃であり防御だったのだと思う。
それに対して彼らは笑いというものを武装していた。
そんな彼らを子供扱いしていた反面、強い憧れもあった。
素直になれなかったのは臆病で不器用で人一倍プライドが高かったせいだ。

不幸だと思えば人は簡単に不幸になれる。

きっとその頃の苦い経験から、笑いというものに特別な思い入れを抱いくようになったのだと思う。
ありとあらゆるもの、
それがたとえ陰なものでも笑いに変えて、陽にもってゆく技術。その確固たる意思。
それはときに暴力的であったりするけども、ぜひとも獲得しておきたい生きぬくための術。

前回のバナナマンのはなし。で本当に言いたかったポイントはこれだった。
なかなかうまくまとまらず、あれやこれやしているうちに要点すら見失ってしまった。
それは終わりを示唆している。

約一年間、この〝~のはなし。〟という形でコラムを書かせていただいた。
写真に内包する物語りを綴ることで、作品が生まれるべくして生まれたことをより深く掘り下げる試みだった。
それは、ぼくの中にあなたを発見する試みでもあった。
ぼくらは出会えたのだろうか。
出会えたのだと思えたときもあった。
だけど、確かなことはわからない。

誰もが納得した自分でいられるわけではない。
だから勝手気ままな世界と折り合いをつけながら、それぞれの覚悟を胸に毎日を生活してゆく。

そうしてひとつの形にした個展が17日からはじまる。
この区切りのようなタイミングで展示できることを嬉しく思うと同時に、その機会を与えてくれたSIGHT BOXのトシさん、きっかけをつくってくれたイワオくんにべちこちゃん、さらにいえばアパートメントに誘ってくれた佳央理さんと良太くんに感謝。

ぼくと他のなにかが関わることによって変わってゆくそれが人生の醍醐味のように感じる今日この頃。
その変化の途中、幾度となく終わりはやってくる。
そのときに見るものは、いつだってはじまりの理由であってほしい。
そう願いを込めて、~のはなし。をおしまいにしたい。

【告知】
イガラシタカヒロ写真展
「単独の僕と君といる僕が異なるように、世界はめまぐるしく変化している」
会期 6月17日(月)~30日(日)※23日から30日へ延長となりました。
時間 11:30~23:00 ※月曜は17時オープン。22日(土)と30日(日)は17時まで。
場所 SIGHT BOX Studio & Gallery
住所 〒194-0021 東京都町田市中町3-5-6 1F
電話 042-720-2305