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「2017年を振り返った時に私が1番笑顔になれる曲です。」【The Chainsmokers & Coldplay「Something Just Like This」(2017年2月22日リリース)】

長期滞在者

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「明日、待っていますね。」
そう約束をしていた、毎日言葉を交わすことが楽しかった人が、その明日に突然死んでしまってから、
私は明日を信じなくなった。

あれから、眠る前に毎晩思う。私に必ず明日が訪れるわけではない。
このまま眠って、私が目覚めないことを想定する。
例えば、今Twitterに残したこの言葉は、明日私が死んでしまったら、最期の言葉として残るのだなと考えて、
言葉を綴るようになった。

「未来」や「明日」という言葉を使う頻度が減った。
その言葉を発することに躊躇するようになった。
何も約束などできない。明日がくるなんて思えなくなっていった。
しかも、昨今の状況の中、未来を想像しても、頭の中で思い描く世界はちっとも明るくなかった。
今日で全て終わってしまえば、こんな悲しい気持ちをいつまでも抱えずにすむ。そう思う時間がどんどん増えていった。

あなたといる時間は、いつだって楽しかった。

「もうイヤだ。こんな自分を終わらせてしまいたい。」
あなたの姿を見ていて、ふいに、そう思い続けている私は、
あなたとの今年の楽しかった時間まで否定してしまっているのではないだろうかと思った。

「あなたと一緒にいると、いつも笑顔が絶えなくて、すごく好きな自分になれる。
彼といても、そうはなれなかった。その好きな自分を、これからの人生で出来るだけ、たくさん生きたい。
だから、あなたがいてくれないと困ると思った。」
(『私とは何か 「個人」から「分人」へ』 平野啓一郎)

あなたといると、私は私が好きな自分でいられる。
泣いてばかりの私は、あなたといる時だけは、必ず笑っていることに気づいた。

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秋晴れの川沿いの道を歩きながら、
ヘッドフォンから聴こえる曲に合わせて、私は、♪I want something just like this〜と歌っていた。
今年は本当によくこの曲を聴いていたし、口ずさむことで、いつも心が晴れやかになっていた。

「Something Just Like This」を歌った時の喜びを実感したのは、2017年4月19日のCOLDPLAYの東京ドームでのライブ。
嬉しいことにこの時の大合唱は、2017年7月13日にリリースされた、COLDPLAYの「Kaleidoscope EP」に、
「Something Just Like This (Tokyo Remix)」として収録されている。
聴く度にあのシーンを思い出して、力が湧いてくるトラックだ。

私がこの曲を大きな声で歌った場所が、もう一つある。
それは、2017年9月18日に東京で開催された、ULTRA JAPAN。
2017年4月7日に1stアルバム『Memories…Do Not Open』をリリースして、ワールドツアー中のThe Chainsmokersが、
今年唯一日本でライブを行うのが、このULTRA JAPANだった。
「Something Just Like This」を含むこのアルバムが大好きでたまらなかった私は、迷わずに会場に行った。

メロウな持ち曲とどこまでもアッパーなDJセットを、
センスよく且つ2017年という今の空気をたっぷりとその音楽に含むステージ。
世界で勝負をしている二人のパフォーマンスの中にいると、自分が東京にいる気がしなかった。
どこか遠くの異国の地で観ているような感覚だった。

この日は台風の影響で大雨だった。
ところが、「Something Just Like This」を演奏した瞬間、空から降る冷たい雨が止んだ。

“I want something just like this”
この言葉を歌うと私は楽しくて、そして、雨は止む。
あの夜のライブには、そう信じられる感動があった。

好きな曲の中にいる時、好きな歌を歌っている時、私は自分が好きな自分でいられる。

あなたは私にとってそんな存在だ。
あなたといると私は笑顔でいられるし、心の中の雨が止む。そこには穏やかな陽だまりがある。

私が生きた2017年という時間を好きでいられなくなってしまうことは、
あなたと過ごした時間まで否定してしまうことになる。
今日はいい日だったね、幸せだったねと、語り合った日があった2017年を、
このまま、無力感に苛まれたまま終わらせるわけにはいかない。

そのことをはっきりと意識してから、流れが変わった。

怖いけど、おもいきって言ってみようと思ったことが、より良い風を吹かせた。
こうなったら理想だということが、次々に実現していく。
一人、また一人と仲間が増えていく。どんどん、何かが動き出している。

私たちは、特別な言葉を交わしているわけではない。
これはかっこいいね。これはおもしろいね。これはわくわくするね。
生きていく中で、互いの喜びを認め合う。
それぞれの生き方を励まし、寄り添い合うことで生まれる力こそ、最も信じられる勇気だ。

「Something Just Like This」。
COLDPLAYの来日公演でも聴けた楽曲を、The Chainsmorkersのライブでも聴くことができた。
この曲をクリエイトした両者のライブで、おもいっきり共に歌えた喜びが、
私にとってこの曲を、2017年1番忘れられない楽曲として決定づけた。
同時にはっとした。毎年、その年の1番好きな曲は、ほとんどが邦楽だった。けれども、今年はそうではない。

自分の中でこれが、私の人生に関わる大きな転機となっていくということは、とっくにわかっている。

本当はこの曲については、今年の最後の月となる12月に書こうと思っていたのだが、今月に書いたことにも意味がある。
私の新たな一歩が始まった月となる、2017年11月に書き記しておきたかった。

あぁそうか。これは私がやるべきことで、それがこれからの私の道なんだと、気づいた2017年。

一体、何が始まったのか。
その物語については、いつかここで綴る時が必ず来るだろう。

私は、私にできることで、あなたを笑顔にしていきたい。それだけなんだ。
そうなれるかな。なりたいな。さぁ、今日もがんばろう。
“I want something just like this”と口ずさみながら。

【ラジオDJ武村貴世子の曲紹介】(“♪イントロ〜7秒”に乗せて)

2017年を振り返った時に私が1番笑顔になれる曲です。
The Chainsmokers & Coldplay「Something Just Like This」

武村貴世子

武村貴世子

ラジオDJ、MC、ライター。
これまで、FM802、Fm yokohama、FM-FUJIなどで番組を担当。

ラジオ番組、司会、ライター、トーク&アナウンス講師はもちろん、
朗読と音楽のコラボレーションライブも展開中。

国連UNHCR協会 国連難民サポーターとして、
難民支援を始め、世界や社会への関心が深く、社会貢献活動にも積極的に取り組む。

また、タロット・リーディングの学びも深め、
フリーランスでその活動の幅を広げ続けている。

Reviewed by
宮本 英実

なんとなく今年を振り返る時間が増えてきて、そんな時に思うこと。私は、あなたのその存在に生かされていたのかもしれない、と。私らしくいられるその瞬間と、この曲はとても似ている。

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