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3F/長期滞在者&more

春分パッサージュ。

長期滞在者

季節の変わり目のせいだろうか。
2週連続で週末を寝込んで過ごした。
ハッキリとは原因はわからないのだけど、
極端な怠さと軽い吐き気とひどい頭痛にやられた。
特に急に気圧が下がるとそういう症状が出るらしい。
いや、昨日までの週末はずっと晴れてたし気圧の変化は
あまりなかったはずだから、単なる風邪かなんかか?
 なんなんだ、まったく。
こういう症状の場合、自律神経がどうとかネットなんかには書いてあるけど、
そんなものが鍛えられるわけもないだろうし、
たぶんマニプラチャクラに集中して瞑想したりするのが
良策ってことになるんだろうという予測をしてみたりしている。
(じゃあ、やれw)

ところで寝込んでいた週末にゴロゴロしながら何をしていたのか、
というと、もちろん読書と動画視聴。
どちらにしても途中で眠くなって中断するので、
そしてそれをリカバーすることなく次の本や次の動画に移っていくので、
延々とつまみ喰いをし続けた感じ。

あまりにもワイドショーネタになり過ぎてる森友学園に関する動画も
菅野完氏が籠池理事長と接近遭遇して、
共同戦線を張るに至った辺りは面白かった。
が、その後の自民党が見せた証人喚問に向けた狂った言動と、
野党の追及のバカバカしいくらいのユルさに、
呆れるというか、背筋が寒くなるような気がした。
ロンドンのテロとか日本のメディアからはほとんど無視されてたみたいだし。
安倍版治安維持法みたいなの可決しそうだし。
マジで、日本やばくねえか。
とまあ、そんな感じの体調ではあったのだけど、
三寒四温というか三鬱四躁みたいな感じで、
日照時間が増すとともに徐々に復調しつつある。

今朝、起き抜けにインスタグラムをサラサラとチェックしていて、
ぼくが注目しているとあるアーティストのパフォーマンスが
前日までブリュッセルで催されていたのを思い出して、
しまった〜!!!っと言いながら飛び起きた。
朝一で飛び起きられるくらいの元気があるのはいいことなのだけど、
そのパフォーマンスを見逃したことが悔しくて、
どんだけぼーっとしてんだ俺!と、セルフ喝を入れたくなった。

なのでセルフ喝を入れるために、朝一スイミングを選択。
徒歩20分強の室内プールに歩いて行き、1時間ほど泳いだ。
しばらく泳いでいると色々と静かに思考が動き始めるもので、
その見逃して悔しかったパフォーマンスを作ってるアーティストの
仕事についてつらつら考えていて、
あぁ、彼女の仕事というのは現代版ヒエロニムス・ボッシュみたいなことなのかもなぁ、
そういう意味では、表現という事において、
あぁ、やっぱり西洋というのは象徴ということを徹底して深めてきたのだなぁ、
とかなんとなく思い始め、
あぁ、やっぱり日本というのは象徴ということは徹底してこなかったのだなぁ、
その代わりに、意味に関しては表層に滲み出てくる、仄めかしみたいな事に
心血を注いできたような気がするなあ、
やっぱり象徴するのと仄めかすのとは違うよなぁ、
どこがどうとはめんどくさくて考えきれないけど…
あぁ、河井寛次郎の後期の彫刻作品や某有名陶芸家の最近の作品が
気持ち悪く感じるのはそのへんのことに関わってるからかもしれないなぁ、
ともあれその仄めかしを読み取る技術が見る側に求められるようになって、
日本人の推しはかり能力が抜群に高いのもそのせいかもしれないなぁ、
そういう表現する側とそれを受け取る側の申し合わせのような
システムのようなものがあるのだから、そこをちゃんと説明しないと、
日本の文化というのは結局他の文化からは理解がされにくいのだろうなぁ、
そういえば岡倉天心もそんなことをちょっと書いてたような気がするなぁ、
というか、この作る側と受ける側の双方の文化レベルを相互に引き上げてきたとおぼしき
推しはかりシステムが妙なことになって、今や菅野完に「自動忖度機」と
命名、揶揄されるほどの体たらくになってしまったのは一体何が原因なんだろうなぁ…
などなど考えながら背泳ぎをしていたら反対岸のコンクリの壁に思いっきり頭をぶつけ、
グフッとなって一瞬我を忘れ、直後しっかり我を思い出したので、
我に帰ることに成功したことにホッとしながら、
オォ、今のグフッがセルフ喝だったのかもしれない、天の配剤…
とか自分のぼんやり具合を天の意思にすり替えながら、水から上がった。

プールから歩いて帰る途中、近年整備された公園がある。
さすがに3月も末であれば、あちこち白やピンクや黄色の花が咲き出している。
ここ数日はその辺りを歩けば春の匂いも濃くなった。
しばらく行くと人家の庭からのぞくマグノリアが咲きかけている。
全くなんてゴージャスで艶っぽくてエレガントな色なんだろう。
この時期では一番好きな花の一つだ。
今年はどこかマグノリアの大木の下で花見でもしたいものだ。
と思いながらも、次の瞬間には、
映画『マグノリア』のトム・クルーズはすごかったなぁ、
最後の大量の蛙はどうやって降らせたんだろう、と言うか何匹いたんだろう、
とか別の話に意識が移る。
連想というのは面白いけど、取り止めがないのが玉に瑕である。
いや、それでもマグノリアの下の花見は忘れずにやってみよう。

ひだま こーし

ひだま こーし

岡山市出身。ブリュッセルに在住カレコレ24年。
ふと気がついたらやきもの屋になってたw

Reviewed by
カマウチヒデキ

たまたま、ひだまさんの前にもアパートメントにマグノリアのことを書いた方がいて(Maysa Tomikawaさん https://apartment-home.net/long-visiter/magnolia/ )、僕はひだまさんの文章のレビューを書くために公開日よりも前にひだまさんのこの文章を読んでいるから、ひだまさんとMaysaさん、同時に右から左からマグノリアのダブルパンチを食らった。
そしてこのダブルパンチを食らうまで、僕は木蓮がマグノリアだということを知らなかったのだった。

何を隠そう僕は白木蓮という植物が大好きである。

ハクモクレンという読み方が一般的だが、どうしてもビャクモクレンと呼びたい。

植物一般にほぼ興味もなく、鉢植えすら世話した記憶もないが、何か一つお前に植物を与えようと神様に言われたら、ビャクモクレンの木ならいただきます。
というくらいこの植物が好きである。

なーのーにー、マグノリアである。
知らんかったし、その名前。
しかもビャクモクレンよりさらにかっこいいし。

マグノリア。
良い。

短い盛りの過ぎた近所のビャクモクレンの下で、欠け落ちた花を見上げながら呼びかけてみる。
マグノリア。
おお。

ひだまさん、来年は3月ごろ日本に帰ってきませんか。
マグノリアの下で飲みましょう。

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