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2F/当番ノート

モ・クシュラのCコード

当番ノート 第33期

本の裏表紙にある「C」から始まる4ケタの数字・Cコードは、販売対象や発行形態、ジャンルを教えてくれるもので、書店や図書館の方が棚に本を置くときの目安になったりする。

以前に勤めていた出版社は、美術書や映画書系の本を主に出していたので、Cコードの下2ケタは、「7 芸術」の「1 絵画・彫刻」もしくは「4 演劇・映画」あたりと決まっていたが、自分の個人出版社でつくった自主企画の2冊は、Cコードでうまくジャンルを分類できず悩んだ。

街なかの個人出版社で働く編集者として、日常の中で心惹かれることを起点にして本をつくってみたら、Cコードの分類から遠いところにいってしまったようだった。

Cコードでジャンルを分類しにくい本は、書店に営業する際、大変苦労をする。その苦労は、読者に本を届けてくれる場所を意識できていないことの当然の報いで、これからは、読者に届けることをちゃんと考えながら本をつくっていきたい。

ただ、「どんな人が好きか?」と聞かれて、あんなタイプ、こんなタイプと答えてみたところで、言っているそばからその実態がすり抜けていくように、「どんな本が好きか?」と聞かれても、やっぱりジャンルやタイプで答えられない。心に近いものは、いつも個別具体的なのだ。

だから、ジャンルを起点にして本をつくるのではなく、自分が生きる日々のなかで個別に、具体的に心を動かされたところから本づくりをスタートしたい。

私は、個人出版社の「個人」がなにを担保する言葉なのかよくわからず、この言葉を使うたびにモヤモヤしていたけど、そういう本づくりのスタンスにおいて「個人」でいることが重要であるならば、自分の活動を指して個人出版社ということに違和感がない。そのことにこのコラムを書いて気づいた。

大谷薫子

大谷薫子

1975年、横浜生まれ。フィルムアート社にて書籍編集者をしたのち、2012年 にモ・クシュラ株式会社を設立。『世界は小さな祝祭であふれている』(小野博)、『表現のたね』(アサダワタル)、横浜美術館「BODY PLAY POLITICS」展の図録などを編集、刊行。

Reviewed by
木村和平

"心に近いものは、いつも個別具体的なのだ。"
この言葉に、すべてが詰まっているなと思った。

ジャンルや肩書きで仕分けされることが多いいまだけど、それらをこえるもの、それらから離れたものが生み出せたら、なんて素敵なことだろう。

こえる、離れるというのは気をてらうということではなく、自分の気持ちや体験に正直でいることだと思う。

それが一番シンプルで、素直なことなはずだから。

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