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3F/長期滞在者&more

目の前の景色

長期滞在者

通勤電車は少し人が減りました。

ギュウギュウ詰めではないけれど、都心に近づくとそこそこ混んでいます。つり革を掴む人がほとんどいないのと、車内で話し込む人がほとんどいない。ひたすらスマホの小さな画面と向き合いながら、いつも以上に他人との関わりを持たないようにすることで、目に見えない火の粉が自分に降りかかることを避けているように見える。

マスクとアルコール除菌剤は、相変わらず品薄だ。毎日ドラッグストアーを覗くのは無駄だと思って通うのをやめたら、チェーンストアでない、町の薬屋の店頭や、工事現場の細々した材料を売っている金物屋さん、昔からある町の何でも屋さんの店頭で大量に並び始める。

どれも見たことのないブランドの製品だが、手に入るようになったので、少しだけ買う。

巷の噂話では、転売業者の在庫が市中に流出しているのでは、との声も聞かれます。

都心の盛り場や、大手町のオフィル街から人影がほとんど消えたという映像が毎日繰り返し流れています。一方で都心から少し離れた地域は、人が溢れている。

郊外のショッピングセンターは、都心部のナンバーをつけた車で渋滞を起こしている。

夕方は、千葉から都心へ向かう乗用車の車列で渋滞が起きる。いつもとは逆。

車を持っていない人が、大量の水やコメをネットで買う。宅配便の配達員さんは、配りきれずに悲鳴をあげて、時間通りに届かないと苦情を言う人も少なくない。

町の中は完全にしまっているわけではないが、本当ならこんな時期に仕事なんかしたくないと思ってる人の方が多い。止むを得ず店を開けたり事業を継続しているに過ぎない。

借金は少ない方がいいに決まっているし、人生の残り時間が短い人は借りられる金額が少なくなるのは住宅ローンと同じだ。

社会生活において他人との接触を減らすことはできても、ゼロにすることはできないし、間接的に誰かをリスクのある空間に晒してしまうという想像力が膨らんでくる。郵便を送ることも、電気のスイッチを入れることも、後ろめたさを感じてしまう人がいる。

テレビタレントがコロナに感染したといって、世間に向かって謝っている。

この難局を乗り切るために頑張ろう!と掛け声が聞こえてくる。いつ終わるかわからないのに、身の回りの隅々まで細心の注意を払い続けて、緊張感を持続することができるのだろうか。

いくつかの春の嵐と初夏のような陽気を繰り返しながら、目の前の景色が見えていないことに気がつきます。我が家の前に広がる畑には、いつの間にかパッチワークのように四角い緑色が目立ち始め、いつの間にか桜の花は全て散り落ちてしまった。

篠原 俊之

篠原 俊之

1972年東京生まれ 大阪芸術大学写真学科卒業 在学中から写真展を中心とした創作活動を行う。1996年〜2004年まで東京写真文化館の設立に参画しそのままディレクターとなる。2005年より、ルーニィ247フォトグラフィー設立 2011年 クロスロードギャラリー設立。国内外の著名作家から、新進の作家まで幅広く写真展をコーディネートする。

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