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若い会社員に宛てた手紙(無能さについて)

深夜図書室

大学生の時に読んだ「無能」について書かれた、社会全体に通用する(かもしれない)恐ろしい法則の本は、僕の記憶に強く残っている。

ローレンス・J・ピーターによる本「ピーターの法則」がそれだ。

ずっと僕が疑問に思っていたことに、ピーターの法則は、とても明快な視点を与えてくれたんだ。

それは、こんな疑問だ。

政治活動でも企業組織も、唖然としちゃうような、めちゃくちゃな事件がよく起きる。みんな全然ちゃんとしていない。一方で、全国津々浦々にアスファルトの道路はきれいに敷かれているし、高層ビルが突然崩壊することもなくみんな安心して暮らしている。これはすごいことだ。

この社会は皆とんでもなくだめな気がするし、でも恐ろしく機能しているようにも見える。つまり…どっちなんだ?

ピーターの法則は次のように説明してくれる。

・能力主義の階級社会では、ある人がその階位で成果をだすと、昇格する。さらに有能ぶりを発揮すると、また昇格していく。それはその階位で有能ではなくなる限界まで続く。最終的に、その人が無能であるところで昇格は止まる。その後その人はずっと無能なポジションに居続ける。これが「無能な人」が社会にたくさんいる仕組みである。

・ではなぜ社会はまだ機能しているのか。それは、無能になるポジションにたどり着いていない、有能さを発揮できるポジションの人たちが、まだいるからである。

わかりやすいし、なんとなく納得してしまうところがあるでしょう。

ピーターの法則でおもしろいのは、有能無能というのが、その人の持つ能力や人格などではないことだ。

それより問題なのは、有能だった機能を、それとは関係ない領域で活用してしまうからよくないのだ、という視点だね。

無能な人が増えるのは、まあ社会全般にとってよくないなあとは思うのだけど(社会が機能しなくなるから)、それよりもきっと、がんばり続けた結果、無能でしかいれないポジションに昇格し、そしてそこに留まり続ける、その人自身が、ずっと辛いだろう。

がんばって成果をだしつづけたら、いつか無能ポジションの人になってしまう。

無能ポジションで無理をしてなんとか成果をだすと、より無能さを強いられるポジションが待っている。

そんな事は誰も望んでいなかったのに。

おそろしい事だよね。

じゃあどうしたらいいだろう?

「そもそも昇格したくて働いてるんじゃないから、成果を発揮できるこのポジションに居続ける」というやり方があるよね。

とはいえ、例えば会社組織に属していると、そういうことを要望しても、会社側が理解してくれるかどうかは、全然わからない。(だってその「会社側の人」が「無能ポジションに辿りついた人」かもしれないしね!)

だったら「自分がいつか無能ポジションに辿り着くとしても、でもこの領域の仕事がずっとできるなら全く問題ないよ」という領域で仕事をするのがいいんだろうね。

僕はよく思うのだけど、人生のうち働いてる時間って、とても長い。一体全体、自分はどの領域で、誰と一緒に働くのかを選択することって、とても重要だ。

もちろん日々の糧を得るためのDAY JOBをがんばることが必要な季節もあるだろうけど、それでもやはり、仕事について考える事は、人生について考えることに近いのではないかな。

どちらも、自分で考えて主導権を握らなければ、いつのまにか強い流れに乗って、思いもしないところに辿りついてしまう。

「とはいえ運次第」なのも、仕事と人生に共通しているのだけど。

ではでは、また来月。

とうどうやすひろ

とうどうやすひろ

1981年生まれ。自身のうつ経験をもとにした会社「U2plus」を創業、その後株式会社LITALICOへ事業譲渡。株式会社CAMPFIREにて「GoodMorning」をつくる。2020年4月に株式会社かいじゅうカンパニーを創業。

仕事は上手ではないが、仕事を考えるのは好き。

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