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働いたその先には何があるんだろう?

深夜図書室

「はじめて考えるときのように 【わかる】ための哲学的道案内」という野矢茂樹さんの本がある。

テキストとイラストがストーリーのように組み合わさり、最後に合流するという素敵な本だ。

文庫本であるから、ぜひ探してみてね。

考えるってどうすること――。?見えない枠組みを疑う、自分を外に開く。上手に考えるためのヒントを解説するイラスト満載の哲学絵本。

哲学者・野矢さんオリジナルの、くまのプーさんの詩が出てきたり、とても楽しい本だよ。

その「初めて考える時のように」で書かれているのは、思考するとは、一体どのような動作なのか、ということだ。

端的に言ってしまうと「読むこと」「書くこと」「話すこと」の3つの要因でできている。

まずは色々読む。

そして頭の中に生まれる、ふわふわとしたものを文章にすることで、形を与える。

それを持って誰かに「これってどうかな?君の考えは?」と議論をしていく。

それで新しい要素が生まれたら、また読んで、書いて、話して、の繰り返しだ。

まあ、野矢さんの場合は哲学者だから、この営みがダイレクトに「働くこと」でもあるんだろう。働くこと=考えること=「読むこと」「書くこと」「話すこと」

これだけをみると、表現する人(特に文章領域)の働き方なのかな、とも思う。

詩人や作家と言った僕の友達たちはまさに、この3つが中心の表現生活をしているはずだ。

と言いつつ、僕もまた、領域はビジネス寄りなんだけど、何も変わるところはないよ、とも思うのだ。

例えば、僕は今年の4月に「かいじゅうカンパニー」という会社を作り、そのまま起業しているのだけど、やっていることはこの3つの動作で全部説明がつくんだよね。

「むむ、かいじゅうカンパニーという言葉は素敵じゃない‥?」というところから始まり、言葉に導かれた事業のアイデアをいくつか書き出して、周りの投資家とか詩人と意見を交わす。

2011に僕が中心となって作った「U2plus 」という事業を、今年の5月から、かいじゅうカンパニーとして運営を引き継ぐことになった時も、今の運営会社の人に連絡をとり、資料をもとに議論して、契約書を読んで・・・という行動を繰り返すだけだ。

そして今構想している新しい事業も、専門家たちのいろんな本を読んで、アイデアをスケッチに落として、ユーザーさん候補の人たちと話して回ってる。

そもそものモチベーションとしても、かいじゅうカンパニーが万が一うまくいっても、最初から会社の規模や成長がそこまで必要ないモデルになるといいなあと思ってる。あんまり思考パターンとしてはビジネスっぽくないんだ。

ユーザー数はかなりのボリュームになるといいなとは妄想しているけどね。

「スモール・ジャイアンツ」という、小さなエクセレント・カンパニーについて取材したアメリカの本があるんだけど、そこに出てくる経営者たちは、大体2度目か3度目の起業をしていて、「次会社をやる時には、規模の拡大を最優先にすることはやめよう」と考えて始めたみたいなんだ。

それだけならまあ、ありそうな話ではあるけど、ここで問題になるのは「規模ではないとして、何を目標に事業を作るのか」「どのような事業のやり方なら、その目標を変えずに、でもバッチリお金を稼げるのか」と言ったところだ。

これは難しそうだよね。でもきっと僕は向き合わないといけない。

人はパンだけでは生きていけない。薔薇こそを目指したい。でも、パンがないままに薔薇だけでは決して生きていけない。

だからこそ、「まずは」経済的な成長を目指すのが、一般的なやり方だ。

たとえばYコンビネーターというベンチャーキャピタルをやっているポール・グレアムが「ハッカーと画家」で推奨していたのは、シリコンバレーの起業家たちの働き方だ。

彼らは、普通の人からは考えられない毎日激烈に働く。そして会社を売却して富を築く。つまり、一生分の働く時間を圧縮しているんだ。

きっと、富を築いたその後に、たくさんのやりたいことがあるんだろうね。

それは例えば毎日ビーチでピニャコラーダを飲む生活かもしれないし、あるいは世界中のマイノリティが起業しやすくなるためのファンドを作る事かもしれない。

で、ここまで書いてきて、僕が今回のエッセイで書きたいことがわかってきた気がする。

僕は、経済的に成功した後に、したいことは、ないんだ。

薔薇を愛でる生活はいらない。

短期間猛烈に働いて、自由な余生を過ごすことは求めない。

パンだけの時代を過ごすのも僕には無理だ。

僕が求めるのは、自分が望む働き方、「読む・書く・話す」と言った、主に表現の現場で使われている道具でもって、ビジネスの領域でしっかり稼ぎつつ働き続けること。

仲間たちと共に詩人や作家のような生き方・暮らし方・働き方をすること。

果たしてそんな事ができるかな…

でもまあ会社も始まったことだし、試行錯誤してみよう。

その試行錯誤こそが報いなのだからね。

さて、ここまで書いてみたけど、やっぱり「読む」「書く」っていいね。

30分前には、なんとなくのイメージはあったけど、全然形にはなってなかったんだ。

ねね、僕たち、次はどうしようか。

もちろん「話す」だよね。

このエッセイを読んで、あなたがどう思ったか、ぜひ聞かせてほしいな。

とうどうやすひろ

とうどうやすひろ

1981年生まれ。自身のうつ経験をもとにした会社「U2plus」を創業、その後株式会社LITALICOへ事業譲渡。株式会社CAMPFIREにて「GoodMorning」をつくる。2020年4月に株式会社かいじゅうカンパニーを創業。

仕事は上手ではないが、仕事を考えるのは好き。

Reviewed by
moto

今、

"人は何のためにはたらくのか"

と自問自答している人は少なくないんじゃないかと思う。(何を隠そう、レビューを書いている僕だってそうだ。色々考えていたら、レビューが遅くなってしまった。)

読んでみよう。書いてみよう。話してみよう。

とうどうさんに連絡してみよう。

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