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おやすみ貴族から、おしごと貴族へ

ひとと企業のPlaybook

ぼくは前回「自分の人生の当事者であるということは、面倒を引き受けるということでもあるだろう」と書いた。

そこから、自分の立ち位置に少し変化があったので、ご報告したい。

1000人規模の上場会社を退職し、10人に満たないベンチャーで働くことになった。

社長の経営者経験はまだ1年に満たず、悪戦苦闘が続く小さな小さなスタートアップだ。

リスクや課題は数え切れないくらいあり、逆にリターンはまだそんなに見えていないという、そういうキャリア選択をぼくはした。

あんまり賢い意思決定とは思いにくいけども、なんというか、信じられる誰かとともに面倒を引き受けていきたい心情だったのだ。

起業したことがあるのでわかるのだけど、会社をはじめると、アドバイスをくれる人や、顧問になってくれる人はたくさん現れる。

みな貴重な経験やナレッジを提供してくれる。

その価値は認めつつ、でもぼくはCEOにいい事を言う人ではなくて、会社やステークホルダーと一緒に悩んで地を這う立場に身を起きたくなったんだよね。

この2年位、ぼくは何者でもない時間を過ごしていた。

例えばこんな感じだ。

メンタルヘルスの事業で起業した経験があることから、イベントでの登壇依頼がけっこうあった。

まずそれを全て断ることにした。

少し名の知れたベンチャーにいたけど、そこも退職して、大きな企業のイチ社員となったので、個人での発言も少なくなった。

経営者仲間の友人がやっているNPOや、スタートアップとは、付かず離れず、たまに相談に乗ったり企画したりもするけど、取引関係はないままにした。

様々なコミュニティに出入りしながら、明確な関係性はもたないようにしていた。

それまでは、起業家だったり、病気の当事者として知り合うひとが多かったのだけど、ここしばらくは色んな人から「よくわからない謎の人」として認知されることが多かった。

何をしている人かと問われると、「おやすみ貴族です」と名乗るようにしていた。

これはこれで、ふわふわと雲みたいな存在でいるようで、心地よかったんだ。

でもそろそろ、何者かになっていいのかもしれないと思い始めている。

もう少し言うと、何者かになる自分を許してもいいのかもしれない、と思い始めている。

なんでかはわからないけど、まあ疲れていたんだろう。

自分が深い関係を結ぶことに。
葛藤を持ち続けることに。
うまくいかない全てに。
それでも何者かであろうとする姿勢に。

でも長いおやすみももう終わり。

あるコミュニティには正式に入会することにした。
医師向けのイベントに登壇することにした。
友人の会社とアドバイザー契約を結ぶことにした。
そして、小さなベンチャーで、一緒に地べたを這うことにした。

なんというか、色々と検討したうえで、この会社がいいな、という感じではないのだよね。

CEOの相談に乗っているうちに、自分も手伝ったほうがいいな、と自然と思えた。

結局、ぼくは勝ち馬に乗れない、ということなのだけど。

どうなるかわからない会社と、一緒に悩み成長して、いつか勝つ方が好きなのだ。

おやすみ貴族から、おしごと貴族へ。

どこまで行けるかわからないけど、まあ見ててよ。

東藤泰宏

東藤泰宏

1981年生まれ。自身のうつ経験をもとにした会社「U2plus」を創業、その後株式会社LITALICOへ事業譲渡。株式会社CAMPFIREにて「GoodMorning」をつくる。現在は大手企業にて新規事業開発に関することをしている。

仕事は上手ではないが、仕事を考えるのは好き。

Reviewed by
moto

とうどうさんの今月の言葉からは、新たな扉が開けた感がある。

"でもそろそろ、何者かになっていいのかもしれないと思い始めている。"

長い"おやすみ"期間の後に、とうどうさんの物語は次の章へと筆を進める。

それはなんだか、ある日曜の朝にまどろみながら半分夢の中でする決断のように、朧げでいながら、じっくりと無意識に裏打ちされた、確信めいたものだ。

これから訪れる沢山の楽しい悩みに、乾杯。

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