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ズルしても真面目にも生活は続く

図書館の中の暴風

「図書館の中の暴風」は、わたし(坂中茱萸)と中田幸乃さんが毎月第二金曜日と第四金曜日に交互に更新する、交換日記のような連載です。

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幸乃さんこんにちは。三寒四温の季節ですね。日中は暖かさを感じる一方、朝夕は冷え込んで寒い気候が好きなわたしにとっては名残惜しい気持ちです。そちらはどうでしょうか。

さて、今回は「生活」の話を。同居人の家に引っ越しをして以来、半年以上が経ちました。自分で言うのもなんですが驚くような部屋に住んでいます。壁という壁にポスター、棚の上など物が置ける場所すべてにびっしりと並べられた特撮系のフィギュア、天井にはミラーボール、果ては等身大マネキンまで。すべて同居人の好きなもので覆い尽くされた、まるで「ヴィレッジ・ヴァンガード」のような住処にわたしは引っ越したのでした。

それまでのわたしはどちらかというと物を持たない、ミニマリストのような暮らしに憧れていて、でもそういった暮らしはお金もセンスもかかるものでなかなか実現できずにいました。それが今や名古屋が誇る遊べる本屋、「ヴィレッジ・ヴァンガード」なる部屋に住んでいるのだから人生なにがあるか分かりません。

いや、現在でもSNSなどでシンプルで素敵な暮らしやインテリアを見かけるたびにいいなあとほんのりため息をつくのですが、まあいまのままでもいいか、と半ば満足してもいます。同居人の愛する無数のフィギュアやら謎めいた雑貨やら自作の楽器、名前も知らない歌手のレコードやおもちゃなどが所狭しとひしめき合う怪しい部屋で、わたしはわたしの好きな歌集や料理本を読み、好きな音楽を聴いてポテトチップスを食べているとき、なんだかんだで居心地が良いからいいか〜、となってしまうのです。だって、ズルしても真面目にもミニマルでもマキシマルにも、誰のためでもなく自分のために生活は続くのですからねえ。別に全て真っ白な陶器で揃えなくとも、バターケースを持っていなくとも手作りでケーキを焼かなくともいいのです。居心地よく、機嫌良く…それが大事。結局は人ですから。それを言っちゃあおしめえよ、と寅さんに怒られそうですが。

幸乃さんはどうですか。片付けたいなぁとか、ここどうにかならんかなあ、ああまたお惣菜買っちやったなあ、とか生活って色々ありますよね。生きている限り自分の欲望と住処に終わりはありません。ヤドカリのように、はたまた冬眠前の栗鼠のようにせっせと生活を組んでいきましょうね。

マニラから父島へ雨がゆく間にもレンジを回るピザまん・餡まん

坂中 茱萸

坂中 茱萸

短歌同人「えいしょ」所属の歌人未満です。

中田 幸乃

中田 幸乃

1991年、愛媛県生まれ。書店員をしたり、小さな本屋の店長をしたりしていました。

Reviewed by
早間 果実

森山家ではよく、母親(良子)が息子(直太朗)の鼻歌に三度五度ハモリを被せ、次第に主導権を奪っていく「鼻歌どろぼう」事案がよく発生していたそうです。なんてぜいたくなヒマを持て余した神々の遊びかよ…いやヒマじゃなくて真剣に作曲中かもだけど(だとしたら母わりとお茶目ギルティですね)。

往復書簡のやり取り、あまりにグッとくるものが多くて、たびたび混ざりにいきたい気持ちに駆られてしまいます。「手紙どろぼう」にならないよう、努めてつかずはなれず、あたりさわりのありよりのなし(さわり?)、くらいの四方山を登っていく所存です。

今回は「ミニマルでもマキシマルにも」の文字面から、瞬時にmihimaru GTとマキシマムザホルモンが浮かび上がり、脳が「Hey,DJ!」と「ポアダ ポアダ ポア」の交互浴を始めてしまったのがハイライトです。あと、「ヴィレッジ・ヴァンガード」の折り重なるヴを浴びて、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』観たい欲に駆られました。あ、この作品も、お手紙が重要なモチーフとして出てきますね。星野源さんもけっこうハマってたって言ってたっけ。

世界にはやんごとない作品が手の届くところにあふれていて幸せです、創造主に敬礼ならぬ敬伏する日々。命と共に遊んでくれてどうもありがとう、あなたたちが生み続ける限り、私の生活は意味もなく豊かに続きます。

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