「出会えた過去に感謝を。そして未来での新たな出会いを信じて。」【ARIANA GRANDE「thank u, next」(2018年11月3日リリース)】

長期滞在者

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新しいバンドに出会えた時はわくわくする。

メンバーはどんな音楽が好きなんだろう?
この楽曲にはどんな思いを込めたのだろう?
レコーディングの時にはどんなことがあったのだろう?

インタビューをしていて、音楽の話で盛り上がれることが1番楽しい。

それぞれの音楽への思いが交差した時に高まる気持ち。
その時に、彼らから溢れ出す言葉を、私は一人でも多くの人に届けたい。

ミュージシャンとのコミュニケーションで私が最も大事にしているのは、音楽だ。
音楽は何よりも大切な絆を築いてくれる。

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「その時は俺たちのバンドをプッシュしてね!」
「OK!」

そのやりとりを今でもはっきりと覚えている。
高校1年生、15歳の時だった。

クラスの何人かで将来の夢を語り合った。
放送部に入っていた私はもうその頃にはラジオのDJになりたいという夢を持っていた。

平成元年の4月。
私は世田谷にある都立高校に入学した。
入学して間もない頃に、クラスでバスに乗って移動する行事があった。
バスのガイドの人が使うマイクが回されて、通路を挟んで隣の座席に座っていた君がマイクを持って急に歌いだした。

The Beatles「I Want To Hold Your Hand」。

綺麗なハイトーン・ヴォイスで、男の人でもこういう声って出るんだと驚いた。
同時に「ビートルズってなんだろう?」と思った。

その歌をきっかけに、私は初めてビートルズを聴いた。

気づいたら、2人で毎日よく話していた。
ビートルズもザ・ローリング・ストーンズもエリック・クラプトンもガンズ・アンド・ローゼズも、
全部君が教えてくれた。

君が弾いて、君が歌っていたから、覚えたんだ。

自由な高校だった。
私服で通える学校で、校則というようなものもほとんどなかった。
私は下校放送の時間によくガンズ・アンド・ローゼズの「Patience」をかけていた。
学校内で放送する音楽ものびのびと選曲させてくれていた。

だから学校内でギターを弾いて歌っていても、それは日常の景色だった。
放課後。机に座ってギターを弾いて、歌っているのをただ聴いている時間が好きだった。
覚えているのは、歌と音と、夕暮れの太陽の色。

ある日急にいなくなった。
「学校辞めたんだよ? えっ知らなかったの?」

みんな知っていた。
私だけが知らなかった。

今、私がこの場所で必死に生きているのは
ここにいればいつかまた会えると思っているからだよ。

「私はここにいるよ、あとは君の音だけだよ。」

そんなことを何度思っただろう。

君と出会った平成という時代が、間もなく終わりを迎えようとしている。
あれから、私はどれだけのバンドをラジオDJとして、この声で、この言葉で、応援してきただろう。

そのバンドの中に、君がいないことがどれだけ寂しいか。

だから。
君がいたら、きっと私はこうしていただろうということを、私は続けている。

それは君が与えてくれた夢だ。
君にできなかったこと。君に1番にしたかったこと。

君がすぐそばにいない今でも、
あの時言葉で交わした夢は、ずっとこの胸にあって、
その思いが、私を生かしてきたんだよ。

ずっと書くことも、話すこともないだろうと思っていた。
ずっと自分の中に抱えて、生きていくのだろうと思っていた。

だけど、こうして書いておこうと思ったのは、感謝を伝えたくなったから。
その記憶に触れた時、涙よりも、
やっと今、微笑むことができるようになったから。

ありがとう、音楽を教えてくれて。
ありがとう、綺麗な高音の歌を聴かせてくれて。
ありがとう、優しいギターの音色を奏でてくれて。
ありがとう、12月生まれ同士として誕生日を祝ってくれて。
ありがとう、一緒にたくさん笑ってくれて。
ありがとう、数え切れないくらいの言葉をくれて。
ありがとう、私を信頼してくれて。

ありがとう、私に音楽に彩られた人生を与えてくれて。

【ラジオDJ武村貴世子の曲紹介】(“♪イントロ〜7秒に乗せて)
出会えた過去に感謝を。そして未来での新たな出会いを信じて。

ARIANA GRANDE「thank u, next」