猫の日常、私の非日常

いとでんわ 第2期(2011年12月-2012年1月)

 何を書こうかと悩みながら、定位置である二段積みの箱の上に座っている煙を眺めているうちに三十分過ぎ一時間過ぎいつの間にか二時間が過ぎて、その間に頭に浮かんだことといえば、四足を揃えて尾をその足にくるりと巻き静かに座っている姿が猫の体勢の中で最も美しく感じるなあというくらいなもので、じっと見られるのが居心地悪いのかそのうち煙は寝てしまいました。煙が谷底にやって来てそろそろ3ヶ月、ためつすがめつ眺めているのだから猫のイラストの一枚くらい描けるだろうと思い、スケッチブックに鉛筆持っていざ挑戦、1分後ファニーなのにどことなくみすぼらしい猫の完成。煙さん、申し訳ない。
 さて、便りがないのは無事の便り、書くことがないのは平和な毎日、ということかと部屋を見渡して、ああ無事でも平和でもなかったと思い知らされました。煙は最大の武器である爪の手入れに毎日余念がありません。前足を口元へ持っていき指を開いて股まで丁寧に舐め、その後爪をぐいっと噛んで引っ張るのを繰り返し爪の表面を剥がしていきます。入念な手入れの末に磨かれた爪を持って向かう場所はこの部屋の壁紙に他ならず、私と煙は終わりのない静かな戦いを繰り返しています。煙がここがよさそうだと決めた壁で爪を立て、見つけた私はこれでどうだとビニールシートを貼る、おや爪が立たないではないかいと思った煙はしれっと新しく場所を決めるので私はまたシートを貼る、今ではそれは五か所
に及んでいて一部屋丸ごとビニールシートに囲まれる日は近づいています。せめて舌打ちの一つもしくは悔しそうな顔一つでも見られれば、私もしてやったり!といい気分になれるのですが、煙はどこ吹く風で今日も谷底の部屋を闊歩しています。
 そもそもペット禁止のところを内緒で飼っているのであるからこれだけ気をつかっているのであって、そのうち引っ越しもと思うのですがさてどうなることやら。大家さんが猫ならこんな心配もいらないのに!

=^..^=今週の猫本-猫・猫・猫の家-
おおやさんはねこ (福音館文庫 物語)
おおやさんはねこ (福音館文庫 物語)

 新しい部屋を探していると六畳風呂トイレ付の安くて良い物件がありました。しかし、条件が少し変わっています。
 ・のみのいない せいけつな方。
 ・子どものいない方。でも、子どものすきな方。
 ・みんなのしあわせのために まいにちおさかなをたべて 頭やしっぽをすてる方。
 ・日なたぼっこの すきな方。
 ・いがくのこころえのある方。
 引っ越してみれば猫が大家のアパートで、しかも一匹ではなく四十九匹もの猫が組合を作って管理しているというのだから驚きです。“ぼく”は大家である猫達の代わりになって東西奔走するはめになってしまいます。代わる代わる現れる猫の中で、アゲハのマリコを好きになったトラノスケ、“すずしい”を探して歩くゼロコとチョウキチが私のお気に入りです。