一掬

第7期(2013年2月-3月)

手のひらから水が零れるように

記憶は薄れ 時は流れる

写真に残る記憶の欠片は

私に流れた 時の一掬

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一掬【いっきく】
水などを両手ですくうこと ひとすくい
指の間にわずかに残る水の量 又は 両手いっぱいの水

はじめまして。

「おぢさんのお友達が増えた」というツイートに、「いいなー」と答えたら
ここをご紹介いただき、入居する運びとなりました。
今から2ヵ月後、果たして結果は出るのでしょうか?
明らかに若い女子ではないので、そこらへんが心配の種。

主に針穴写真で展示活動しています。
地元の風景、特に琵琶湖の写真が多いです。

針穴写真の好きなところは、超長時間露光ができること。
日没前や夜明け前に、時間の生まれる様を眺めるのと同じ間隔で露光します。
眺めた時間を一枚のフィルムに、ぎゅーっと凝縮して映し込むのです。

「針穴セラピー」と呼ぶ、自浄の時間。
何をするわけでもなく、蒼い世界に身を置くだけのことだけど
何かを考えることもなく、湖岸の風に吹かれているだけだけど
移りゆくものは薄まって、変わらないものだけがそこに残っていくから。

作品でやりたいことは何か?と問われたら
琵琶湖が美しいとか写真が綺麗とか、直接的なものを伝えたいのではなくて
自分にとっての身近な景色が、見る人の「身近なもの」とリンクして
そっと立ち止まって目を閉じて、その人の記憶に触れることができたらいいな、と。

そして、できることならその感触を、こっそり教えていただきたいのです。
「本当に大切なもの」は、いったい何なのかを知るために。

ここでの時間も、長い人生のほんの一掬。
両手いっぱいの想い出となりますように。