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第8期(2013年4月-5月)

子供の頃、私はバレリーナに憧れた
家族で観に行ったダンスの舞台で、いてもたってもいられずに舞台の近くまでいってそのダンサーたちの踊りを真似して踊り、
観客の多くは舞台下で踊る女の子を見入っていたという話を聞いたことがある
音楽にあわせ、リビングで母の長いスカートをはいて踊った
よくバレエに連れて行ってくれたおばさんと二人、帰り道ダンスをしながら帰った
その人は幼いわたしと同じ気持ちで、まるで二人とも子供みたいに人が多く歩く駅までの帰り道を、くるくるとターンして帰った
そのターンはきっと誰よりも楽しんで見えたろうと思う

結局、ダンスを習うことはなかった
それでも時々、いまでも舞台やコンサートに行くと、頭の中でダンスが始まる時がある
その中での私は鳥のように跳ね回っている

この世界は使われなかった人生で溢れている

やりたいと思うことと、やれずにいること
子供でいたいと思うことと、大人にならざるを得なかったこと
空気中の微生物も見えそうなほど感が鋭い子供時代だった

17歳のときから、一瞬時間が止まった
今思い返しても少女というのはいたのだな、と思う
ギャップの時代だった
友達と共有することが難しかったので頭のなかばかりふくらみ、映画や本や美術に没頭した
内的世界があまりに強固だったので、よほど強いものでないと入ってこなかった
その時期、自分を支えていたのはバランスを取るということだった
幾つかの素晴らしい芸術が自分を活かしていた
何者もおかすことのない領域で会話できるツールだった
そしていつも罪悪感を抱えていた

あの時の硬さを救ってくれたのは、ある人との出逢いと、舞台だった
彼女は小柄で、奇麗な色の洋服を着ていた
母が作ってくれたのだというワンピースは独特の雰囲気をもつ彼女を更に魅力的にしていた
私は何十回という時間を、彼女と話し、人に触れてほしくはない部分をひたすら言葉にするという経験をした
そしてそれは舞台になり、人前で話すという経験に繋がった
自分の考え、他者の考えがどう違うのかを、毎日考えていた
そのシーンで何を話したか、悲しいことに全く覚えていなくて、あれだけ時間をかけたのに残っているのは、後ろから「ハロー、松下さん」と呼びかけられて始まった最初の言葉だ

そこでのテーマは、断絶について

許しは、誰かから与えられるものではない
でもそのきっかけを、自尊心という幸福を教えてもらった
流れていたふたつの時間 ともに生きているかのような
問われながら、彼女の痛みも感じていた
舞台が終わった後、ふたりで抱き合った時間を、一生忘れないだろうと思う
わたしにとっての女神だった

失われてもう存在し得なかったわたしを、想像で見ることができる
何者かでいたかったこと、理解されたいという願い
でもいまも変わらずここにいる自分を愛することが、すべての始まりだった

消すことはできない
ただ、消えていくことを待つだけだ

でもその時間に、世界は何もかも素晴らしいと思える一瞬がある
その一瞬のために、毎日を生きている
それはきっと生き続ける為の、静かな戦いだ