やわらかな者たち

第8期(2013年4月-5月)

ベンチで友達を待っていたら、隣に座っていたおばあさんの手のひらに四葉のクローバーがあった。それはとても立派な大きな葉をしたクローバーで、おばあさんはとても大事そうにその葉をゆっくりと触っていた。
「拾ったのですか?」と思わず声をかけた。
お花が趣味のお友達にもらったのだと言った。
これを紙で挟んでおしばなにするそうで、中心が紫色の美しいクローバーをもちあるいては、時々ひろげては見ているのだと云う。
「幸せがたくさんきそう」と云ったら、「そういわれると本当に幸運がやってきそうね」とやわらかに微笑んだ。
おばあさんは鞄のなかを探し、「あなたがすてきなことを言ってくれたから」といってきれいなオレンジ色をした飴をくれた。

友達は待ち合わせをしている間におばあさんと話している私をみて、遠くから笑っていた。まさか、と思ったが、本当に君だったとは、とおかしそうにけらけらと笑った。

今日は友達の家にいき、ふたりでごはんを食べながら映画を見た。
風が心地よくて、光がたくさんはいるその部屋にいるうちにうとうととしてふたりで並んで昼寝をしてしまった。
途中、友達がフレンチトーストを作ってくれたので、寝ぼけながら食べていたのだけどどうやら食べながら眠ってしまったそうで、眠ったわたしにアイスを口まで運んでくれようとしたらしいが、あんまりに気持ち良さそうに眠っているのでそのままにしたのだと後から教えてくれた。

見慣れない部屋のはずなのに、前からずうっと知っていたような場所のように思ってついゆっくりと眠ってしまった。
時々、ひとのなかだったり、場所のなかに、自分のために用意されたものを見つけることがある。そのすてきな用意は、わたしを途方もなくやわらかくする。

春は光がきもちいい。
風もやわらかだ。

もうすこししたら引っ越しをして
そうしたらあたらしい生活が始まる。
緑がたくさんあるその町は、自分できめたはずなのに、なぜかずっと前からその場所に行くことが決まっていたような、そんな感じのする場所だ。

たくさん家に人を呼んで、にぎやかな家にしようと思う。
昔母が家にたくさん人を呼んでは、たくさんの料理を作っていたように。