愛猫のこと

第14期(2014年4月-5月)

地中海の町猫

猫の名前は ”チロ”

わたしが10歳の頃に我が家にやってきた。
 
肩にちょこんと乗ってしまう程の小さな小さな猫だった。

あっという間に、たくましい大人の雄猫になったチロ。

わりと人懐っこく、でも淡々としているような性格だった。

家と外を行き来するチロはたくさん野良猫とけんかしては、顔や体に傷をおって帰ってきた。

野ネズミを捕ってきては、何度もプレゼントしてくれた。




夜はほとんど、外で過ごした。

夜寝る前になると、チロは夜の闇の中に消えていく。

チロにはチロの世界があるのだ。






雨の降った夏のある日、そんなチロは自ら姿を消した。

わたしが25歳のときだった。

猫は死に際を見せないというけれど、まさにチロもそうだった。

姿を消す前は、よぼよぼじいさんで、夏なのにこたつがないと寝れないし、
ごはんもろくに喉を通らない。
人間と同じ。

チロがいなくなって二年になる。

ふと思うけれど、チロはいつもどんなところを走り回って、どんな猫と出会って、どんな夜を過ごしていたのか

考えるときがある。

きっと、天国でもいつものように野原を駆け回っていることだろう。