新米。そして、新たな種。

第15期(2014年6月-7月)

すくい玄米 1901
新米に、触れる。
毎年、ドキドキします。

今年のお米はどうかな?
草みたいな味になってないかな?
水分量はたっぷりあるかな?
米粒が、大きいかな? 小さいかな?

ごはん膳 1200

新米を、食す。
これもまた、ドキドキします。

風味はいいかな? 弾力はあるかな? 割れ米はないかな?

毎年、最初の一口を食べる瞬間は、緊張します。
それが、これまでの田んぼ仕事の成果、すべてだから。
このお米を売りながら、一年間、家族が生活できるかどうか、かかっているから。

コンバイン 傘穴あき 2117
夏の余韻が残る、秋のはじまり。九月は、まだまだ陽射しが強くて暑い。
次々とやってくる台風と競うように、稲刈りが一ヶ月ほど続きます。
家族はヘトヘト。わたしもヨレヨレ。
もう無理だー。からだが全然動かないと泣きごと言う頃、やっとすべて刈り終えます。

休む間もなく、今度は怒濤の出荷ラッシュ。
新米を楽しみに待ってくれてたみなさんへ、お米をお届けする準備。

全速力の日々も一段落、ほっとひと息つけた…とおもったら、
もう来年の農作業に向けての土づくり開始。
旦那はトラクターで田んぼをかき混ぜはじめます。

かき混ぜることで、田んぼの土の中の微生物を元気にして、すきこんだ藁を発酵させ、
ひと冬かけて、土の肥料・栄養に変えるために。

ちょうどその頃、田んぼに、あるものが復活しているのです。
毎年、その姿を見ると、ハッとさせられる。

ひつじ

稲刈りは終わったのに、なぜまた青々と葉が茂り、お米が実っているのか。
不思議でしょう。

黄金色に完熟し、刈り取り、枯れ色になってた稲の切り株から、
ひと月ほどで、こうしてふたたび、自然に芽吹くのです。
肥料も水もなくても、土に眠る栄養と水分、
そして、自分の生命力だけで再生したこの実は、

稲孫(ひつじ)と呼ばれています。

稲孫が茂り、風にゆれる、秋の田んぼ、これまた美しい。
よーくみると、お米の白い花も咲いているのですよ。
ありったけの力で、次の命につなごうとしてる。

この生命力こそ、お米。

種籾

稲刈りして、収穫したお米の1/100は、籾のまま眠り、また来年のお米の種になるのです。
自然のなか、なんと見事な循環。

米粒には、時間を経てもなお、命をつなぐための栄養が詰まっていて、
こんなに強靭な生命力をもっている。

もの言わぬ、証しです。

そして、米づくりは、この連載の初回に戻る。
種まき。草とり。実り。収穫。そして…。
農をいとなむ人がいる限り、季節の巡りとともに、永遠に続く。

朝・昼・夜。

毎日、人は何かを食べる。
食べることで、自分という生きものの命を、つなぐ。

私たちは、食べ物から、命をいただいている。

ごはんは、たのしい。
ごはんは、おいしい。

これからは、食が、もっともっと複雑な時代になる。
なにを、どう、たべるか、選んでほしい。

食べたものが、あなたの細胞をつくり、あなたの環境をつくるのだから。

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この連載も、今回で最後になりました。
ここまで読んでくださったことに、心からの感謝を。

あなたが、日々、たべてる「お米」のこと。
すこし、知ってもらえたなら、さいわいです。

では、また、どこかで。