僕は独りである。
妻もいるし、娘もいる。
二人とも心の底から愛している。
でも、独りなのだ。
勘違いされてしまいそうなのだけど、
それは僕が生きるために、
生きることに向き合おうとしてるがゆえに、
独りなのである。
独り思い、迷い、悶として、
その総体としての僕なのだ。
孤独だと感じる時もある。
だけど、それがなければ僕はただの箱でしかない。
君たちを愛すことさえできないだろう。
でも僕は独りであるがゆえに、
君たちを愛している。
内側に独りでしか形づくれないものが、
外側でデコボコな突起となって、
いま君たちのそれと引っかかり合っている。
だからほんとはうすうす感付いている。
君たちもそれぞれ独りなのだということを。
独りは寂しさの最大の単位なのではなく、
誰かと深く関わるための最小の単位なのだ。