当番ノート 第5期
魚はおぼれる 鳥はおちる 朝はこがれる 夜はしずむ 虎はなく メデューサはふるえる 夢はやぶれる 恋はかなわぬ 愛はさかれる 僕のいきる 一日にかならずどこかで 老人はしぬ 子はうまれる 若者はうつろう 女はよそおう 男はつかれる それは現実 そして今日 あらゆる未来 明日には過去 昨日は終わった
当番ノート 第5期
シリーズ「星霜連関」より 2012 シリーズ「星霜連関」より 2012 はじめまして下平です。出身は神奈川ですが、今は作品制作をするため、三重県伊勢市に住んでます。伊勢に何故来たかというと以前から撮影していた「星霜連関」という民俗芸能や祭りを中心にしているシリーズを今度は伊勢を拠点に西日本の撮影しようというのが主な目的です。この場所を借りて、現在から過去へと時間を流し、現在の自分の写真の源流へと辿…
当番ノート 第5期
うたがうたえるひとが好きだ。 わたしはうたがうたえない。 わたしもいつか、うたうための手と耳がほしい。 羽根を毟ってしまうのは、いつも自分だった。 飛びたい、囀りたい、虹がみたい、誰よりも傍で君を聴きたい。 夢は欲で、近くて遠い白と黒。 羽根をひろげようと懸命になることは、毟るほどに羽根を失うのと同じだった。 うたうのに必要なのは、声じゃない。 伸ばしたい手と、うずめたい耳。 鳥はきっと、飛び立つ…
当番ノート 第5期
カレーを作る時に必ずといってよいほど思い出すことがある。 私が小学二年生の時の記憶。 一年生の時に同じクラスになり仲良くなったアサコちゃん。 そのアサコちゃんと幼稚園が同じだった仲良しのマリちゃん、 クラスは違えど、私はマリちゃんと一緒に遊ぶようになっていた。 あの頃のマリちゃんの家は、今はもうない。 二十歳を過ぎた頃、マリちゃんの家のまわりにあった田んぼは埋められ、 マリちゃんの家もいつの間にか…
当番ノート 第5期
こんにちは。御邪魔します。 こちらのアパートメントで、これから2ヶ月間お世話になることになりました。 日玉浩史(ひだまこーし)と申します。 ブリュッセル在住ということもあり、うまい引っ越しそばなどは振る舞えませんが(ワッフルくらいならなんとか…)、 木曜日ごとの当番ノート、しっかり勤め上げようと思いますので、以後よろしゅうお願い致します。 ブリュッセルと言うと知る人ぞ知るコンテンポラリーダンスのメ…
当番ノート 第5期
週に一回、無理矢理にでも何かを書かなければいけないという状況に自分を置いてみるのも、なかなか良い修行になるかもしれない。そう思って引き受けたここアパートメントの日記も、二回目が過ぎ三回目が過ぎるうちに段々うっとおしくなって、一ヶ月目で折り返したあたりから、苦痛になってきた。何でおれこんな事やってんだ…!? それでもまあ、世の中何が起こるかわからない。こういった事がきっかけで新しい出会いがあり新しい…
当番ノート 第5期
僕は秋乃のことが大好きだ。 このことは出来るかぎり真っすぐに伝えたいと思っている。 だから秋乃の姿も真っすぐに撮りたいと思っている。 真っすぐな瞳をフイルムに閉じこめたいと思っている。 去年の春に恋人同士となった。 僕は長野で、秋乃は千葉で暮らすことになった。 僕にとって秋乃を撮るということが特別なことになった。 秋乃の姿が好きだ。 秋乃の心が好きだ。 秋乃の名が好きだ。 僕は秋という季節がとても…
当番ノート 第5期
誰か胸のうちをえぐって 私を罵倒してほしい 思いつく限りの汚い言葉で あらん限りの仕打ちで 私を砕いてほしい 私の跡形などまるではじめから無かったように 誰の記憶にも残らないように 私を消してくれ 砕いてすり潰して溶かして 固めてもう一度砕いてくれないか 火をつけてくれ 切り刻んでくれ 逆さまにして血を抜き取って カラカラになった私を嘲笑ってくれ できないなら どうしたらあなたに愛されるのかを 教…