当番ノート 第17期
転校というものを経験したことが無いのでわからないのだが、こういうものなのだろうか。 誰も知る人のいない教室の一番前に立って、数十人のクラスメイトに挨拶をする。クラスメイトといっても、まだ何も関係を持っていない人達の前で、身体ひとつ、名前と、いくつか、自分に関する情報を伝える。 私にとって今がその始めての瞬間だ。文章でそれをするのだから黒板だけを使ってそれをしているようなものだろうか。 アパートメン…
長期滞在者
お金というのが、もともとありとあらゆる商品になりうるものの中 に見出だされるだろう「価値」を抽出し、それをさらに再物質化し たものだったということであるならば、お金というのは要はあらゆ る商品の特質を抽象化してその中に取り込んでおこうとするものな のだということが出来るかもしれない。貪欲である。そして、交換 という行為と交換される物品やサービスがなければ全く無用の長物 のはずなのに、ただその間にあ…
当番ノート 第17期
アパートメントをご覧の皆様、初めまして。 typhoon soup(タイフーンスープ)と申します。 ここアパートメントは、管理人の森山君はじめ、RACHI君など それはもう才能溢れる面々が居住しておりまして 心揺さぶられるような文章や写真や音楽なんかは他の皆さんにお願いするとして 私は箸休め的な部分を勝手に担っていきたいと思います。 10月、11月の月曜日は鼻くそでもほじりながらお付き合いください…
風景のある図鑑
「チューリング・パターン : turing pattern」 シマウマはなぜシマ模様なのか、ヒョウはなぜヒョウ柄なのか。 哺乳類、爬虫類、魚類、植物、生き物には様々な模様や造形があらわれています。 それらの模様は遺伝子に描かれた設計図によるものだと考えられてきました。 明治時代の科学者は、キリンの模様と干涸びた田んぼなどにできるひび割れのパターンが似ていることを発見しました。 キリンの模様は設計図…
当番ノート 第17期
(著者注:この作品は第16期から連載しています。初めてご覧になる方は、第16期『ツバメ町ガイドブック PAGE1 「階段オルゴール屋」』からどうぞ!) 世界の片隅の扉の向こうに、その町があり、その指令がある。 ”マトリョシカさん” 住所:ツバメ町 A地区 釘の小路 ツバメ町の住民の大半は、旅を知らない。彼らの多くはツバメ扉の内側、つまり自分たちの暮らす町の中しか知らず、”外”に出て行く人はご…
長期滞在者
「ねこがいないんだ。子ねこでもいいからいたらいいのに。ねこのいないだんろなんて!ねこのいない家なんて!すぐにもねこを見つけなきゃ。子ねこだっていいんだから。そしたら家は、欠けたものなし!」 (『ピーターサンドさんのねこ』より) 煙猫と新居に引っ越してからひと月がたち、新・谷底の様子はというと、ここにも猫、そこにも猫、あそこにも猫、人も歩けば猫にあたる、そんな毎日だ。誰が言ったのかは知らないが、猫が…
当番ノート 第17期
未来のことはわからないけれど、みんな未来のようなものを探している。特に21世紀になってからは。大きな変化があり、大きな変動があり、いつまでこのままでいられるのかわからなくなった。でも毎日は途切れなく続いているし、明日もきっとやってくる。 子どもの頃から作家になりたくて、ずっと色んな人に作家になることを話してきた。夢を語る時に、聴き手が語り返すことは色んな意味がある。心は単純に、話すことに好意的か、…
イルボンと小鳩ケンタの空席商会
◇出てくるひと(順不同・敬称略) イルボン(gallery yolcha車掌/詩演家):以下、車掌 小鳩ケンタ(詩人):以下、鳩 横山雄(イラストレーター/漫画家/グラフィックデザイナー):以下、横 ◇◆◇◆◇ 【2014年9月の相席】 横山雄個展「もうすぐそこへ行く」(2014年9月4~21日) 東京在住の横山氏はyolchaで寝泊まりしながら在廊していた。 本文内容は2014年9月7日、gal…
当番ノート 第17期
犬が好きです。 短歌が好きです。 ということで、犬(主に飼い犬)の話をしながら犬の短歌を紹介していきます。 普段は「食器と食パンとペン」というブログで短歌の絵を描いているのですが、 犬を飼ってから「犬の話がしたい!」と常々思っていたので、この場を借りて思いきりします。 うちの犬は、5年前歩いて5分ぐらいの近所で生まれました。 雑種犬と雑種犬から生まれた純粋な(?)雑種犬です。父親犬は野良犬なので今…