当番ノート 第44期
いつからか、人の手による、ささやかだけど確かな工夫に関心を寄せています。 先週とある駅でも見かけました。 エスカレーターを降りた先に停められていた、清掃道具を入れるカート。 見かけた時は、「クリーンカート」の「ン」から点(ヽ)が抜けて「クリーノカート」になってしまっている可笑しさにひかれてカメラを向けました。しかし数日後にパソコンで写真を見返すと、見かけた時以上にぐっとひかれてしまいました。 清掃…
当番ノート 第44期
ひとりで知らない町に行くと走ってしまう。わたしは生まれてこのかた足が遅く、走っても無用に疲れるばかりなのだが、知らない町並みに晒されているとなんだか走りたくなる。 知らない町はすこし怖い。 繁華街や大きなショッピングモールならまだいい。おだやかな町で、建売の家や、ちいさなスーパーや、ランドセルを背負った子どもを見かけると、脳がゆれるような不安感におそわれる。 わたしは生活のことが怖いのだ。 知らな…
当番ノート 第44期
手紙「生きるさんと死ぬさんへ。」 生きるさん、死ぬさん、こんにちは。 わたしはここ数年、生きるさんと死ぬさんとどっちと一緒にいるか迷い続けていました。 何度か死ぬさんと一緒にいようと決めて、けど死ぬさんに会う前にやっぱり一緒にいられない、と思って、その繰り返し。 そう、生きるさんと一緒にいて、ずっと一緒にいて、ちょっと疲れちゃったんだよね。 生きるさんと離れたい、けど死ぬさんと一緒にいるのは怖い、…