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2F/当番ノート

煙、米俵になる

当番ノート 第2期

煙はしっとり重たいのです。体重は5キロを超えます。店で売っている小さめの米袋が5キロ入りですからやはりとても重たいのです。そんな大きな猫がワンルームの中をうろうろ歩き走り跳ね、かがんでいるとすかさず背中に乗ってくるのだからこちらはたまったものではありません。それでもあのうろついている物体が米袋だと思って観察しているとだんだん可笑しくなっています。動く米袋。

さて、煙ではなくコメという名前でもよかったなと思い始めた年末のこと。夜、消灯すると同時に大運動会を繰り広げていた煙も観念したのか、近頃は私が寝るとベッドに上がってくるようになりました。最初は私のいない部分、つまり窪んでいる場所を選んで丸くなっていたのですが、このところ、なぜか私の体の上に乗ってきます。5キロの米袋がずしんとのしかかり丸くなれば漬物石。こうなると上手く身動きとれない体をもそもそ揺らし、米袋が居心地悪くなって動き出すのを待つしかありません。やっと上体を起こしたと思っても懲りずに元の所に丸くなる、これを二回三回繰り返し私は何とか安眠を確保しています。それが続いてしばらく経って夢にまで現れました。よいやさよいやさと正月の品々を橇で引き目的地を目指す傘地蔵様御一行。私の家の前に来た地蔵様は玄関前に荷物を降ろさずになぜかそのまま家の中へ突入、私のベッドの前に橇を止めるとほいさほいさと横になっている私の上にお祝い物を載せるのです。だんだん重たくなり苦しくもがく私を横目に満面の笑みの地蔵様は再びよいやさよいやさと遠ざかって目が覚めて顔の横には煙がニャンと鳴く正月元旦。皆様明けましておめでとうございます。

 正月の谷底です。一人と一匹の気ままな年明けとなりました。煙は二大好物が食べられる絶好の機会です。海苔を巻いた餅(煙は海苔だけ)を一緒に食べ、雑煮の出汁の鰹節を分けました。そうでした、今まで散々煙の悪事を話してきましたが良いところもありました。煙は私が食べているものには全く手を出しません。においを嗅ぎに来る事はありますがどれも好みではないようです。蔵王の麓にいた猫の中には餡子を舐める子、焼き魚を引っ張っていく子、ささ身に目がない子と、様々でした。それなのにどういうわけか海苔と鰹節だけにしか興味がない煙です。

 最後に、煙ではないのですが蔵王の麓で飼っていた猫の縁起のいい写真で新年のご挨拶といたします。猫のようにしなやかに軽やかにいざ参りましょう。

 

=^. .^= 今週の猫本―こいぬとこねこがそうじをしたら―

チャペックのこいぬとこねこは愉快な仲間 (河出文庫)チャペックのこいぬとこねこは愉快な仲間 (河出文庫)

 こいぬとこねこは仲良しで共暮らしをしています。何から何まで人間と同じようにしたいのですがなかなかうまくはいきません。
ある日、うちの中が汚い事に気づいた二人は床掃除をしようと思い立ちます。お互いの体をブラシやタオルの代わりにして、さあ愉快な掃除の始まりです。
年末に大掃除をした人も多いと思います。忙しい時には猫の手も借りたいなんて言うことわざもありますが、どうやら猫の手は借りない方がいいようですよ。

ふき

ふき

わき道より道さんぽ道 笛を吹いたら風の道

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