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2F/当番ノート

一掬

当番ノート 第7期

手のひらから水が零れるように

記憶は薄れ 時は流れる

写真に残る記憶の欠片は

私に流れた 時の一掬

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一掬【いっきく】
水などを両手ですくうこと ひとすくい
指の間にわずかに残る水の量 又は 両手いっぱいの水

はじめまして。

「おぢさんのお友達が増えた」というツイートに、「いいなー」と答えたら
ここをご紹介いただき、入居する運びとなりました。
今から2ヵ月後、果たして結果は出るのでしょうか?
明らかに若い女子ではないので、そこらへんが心配の種。

主に針穴写真で展示活動しています。
地元の風景、特に琵琶湖の写真が多いです。

針穴写真の好きなところは、超長時間露光ができること。
日没前や夜明け前に、時間の生まれる様を眺めるのと同じ間隔で露光します。
眺めた時間を一枚のフィルムに、ぎゅーっと凝縮して映し込むのです。

「針穴セラピー」と呼ぶ、自浄の時間。
何をするわけでもなく、蒼い世界に身を置くだけのことだけど
何かを考えることもなく、湖岸の風に吹かれているだけだけど
移りゆくものは薄まって、変わらないものだけがそこに残っていくから。

作品でやりたいことは何か?と問われたら
琵琶湖が美しいとか写真が綺麗とか、直接的なものを伝えたいのではなくて
自分にとっての身近な景色が、見る人の「身近なもの」とリンクして
そっと立ち止まって目を閉じて、その人の記憶に触れることができたらいいな、と。

そして、できることならその感触を、こっそり教えていただきたいのです。
「本当に大切なもの」は、いったい何なのかを知るために。

ここでの時間も、長い人生のほんの一掬。
両手いっぱいの想い出となりますように。

八木 玲子

八木 玲子

琵琶湖畔在住

写真で生きてます
星と月と、ぼくらのこれから

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