森に誰かの忘れ物 2013.07.06 当番ノート 第9期 「ん、」 「久しぶりのお客さんだな。きみはぼくがこわくないのか。」 「いつも笑ってるんだな。ぼくの傘を貸すよ。」 「めずらしいからつつかれるんだ。ぼくとおんなじだ。」 「きみはちっともにげないんだね。行くところがないのかい。」 「ずっとずっとがまんしてきたんだろう。本当はどこかに行きたいのに。でもみんなをこわがらせちゃうもんな。」 「おんなじだ。」 「すごいな、きみは飛べるのか。」 「だいじょうぶ。がんばれがんばれ。」 「ああ、」 「そうだった。」 「ぼくも行かなくちゃ。」 . . .