苗が、分けつを繰り返しながら育ち、稲葉になる。
そのなかに、葉っぱのような、茎のような部分ができます。
それが、葉鞘。
「はざや」の中に、ぎっしり詰まって、眠る稲粒たち。
7月の終わり~8月のはじめ頃になると、
稲は葉を増やすのをやめ、茎のなかで穂をつくりはじめ、
お米の入れ物である籾殻(もみがら)を形成します。
やがて穂は、葉鞘から生まれでるように、外へ出て行きます。 それが、出穂。
「しゅっすい」と読みます。
光が透けるような、美しい細胞。
生きるために推敲され続けた、機能的な姿形。
おいしい葉を食べて、その葉の色、そのものになる。
田んぼの中、稲から稲へ、ぴょんぴょん飛び回り、すくすく育つ、殿様バッタ。
からだのなか。細胞のなか。まで、透けて見えるよう。
以前、この写真をみて、自分たちのからだの中はどうなってるんだろうね、とつぶやいた友人がいた。
そんな風に考えたことなかったけど、たしかに。
自然は、不思議だ。
7月下旬、早朝や 深夜に 田んぼに行ってみる。
すると、ふんわり、お米の香りが。
あたり一面、甘い香りが漂います。
それは、お米の花が咲く前触れ。
いよいよだよ、と 粒子が動き出す合図。
ある朝、ふっと、穂の先の方から ちいさな花が咲く。
葯(やく)から花粉が飛び出し、柱頭にくっついた花粉は発芽し、
花粉管を伸ばし、花粉の中の核を子房内の卵に届けます。
ここで受精し、お米の実が大きくなっていきます。
米の花は、午前10時頃に最も多く開花し、昼頃には閉じてしまいます。
たった2時間ほどの、はかなくも うつくしい 花の命。
いのちをつなぐため、自然に組み込まれた連鎖。
けれど、とても神秘的な現象。
あぁ、植物には、神様が宿っているんだなぁ。と想う瞬間。