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2F/当番ノート

毎日の生活

当番ノート 第17期

結婚の報告をしたとき、祝福の言葉と同じぐらい多い反応が26歳という年齢で結婚を決めたことへの驚きと、哀れみの声だ。

「男はもっと遊ばなきゃ」
「30ぐらいまではふらふらしてたいじゃん」
「もっと色んな人と恋愛しなきゃ」

表現はどうあれ、大方「もう結婚しちゃっていいの?」というような意味で言われることが多い。こういうことを言ってくるのはほとんど男性で、女性からは言われたことがないというのもおもしろい。要は、「あーあ、やっちまったな」ということだ。

こういった反応がくることはある程度予想ができた。普段から友人と話していても、結婚の話題なんて出てくるものではないし、まだまだ振った、振られたの話題だけで楽しく飲んでいられるからだ。そんな中で結婚の報告をしたら大抵の反応は「やっちまった」なのである。

大多数の男性の意見はこうであったが、若いうちの結婚はいいぞと励ましてくれる人もいる。その多くは若いうちに結婚をしている年上の人達だ。割合としては8対2ぐらいで、独り身をすすめてくる人が多い。

早めの結婚をすすめてきた人はみな、家事をする。仕事がどれだけ忙しくても家事は最低限やっているし、休日は手の込んだ料理をする人達だ。世の中的には少数派だと思う。

反対に独りをすすめる人の中には家に炊飯器もなく、毎日のように飲み歩いてる人もいる。おそらく同じような生活を何年か続け遊びをよく知った大人になるのだろう。

僕がどちらかといえば、前者なのである。家事は苦手だけど好きで、ツマが妊娠してからは特に自分が負担する分が増え、必要に迫られてということもあるのだが、それを抜きにしても家事はすすんでやる方だと思う。

料理は実家にいた時からたまにしていたが普段から料理を好んでしていたツマに食べさせるには気が引けるぐらいのものだった。だけどツマが妊娠してからは僕が台所に立つことが多くなった。つくったものを人に食べてもらうこと楽しく、凝ったものは作れないまでも日々の食事を当たり前につくるようになっていった。洗いものは最初っから僕の当番で、今も変わらず楽しくやっている。

洗濯は、洗って干す、とり込むところまでが僕の仕事で、ツマは座ったまま洗濯ものを畳むという分担でやっている。

部屋の掃除に関しても、マメな整頓ができない僕ではあったが、何度もツマに声をかけられるうちに部屋をきれいに保つようになり(以前と比べてではあるが)、掃除の時間も短縮できるようになってきた。

日々の生活の中でできることが増えていく。知恵とは言えないまでも、ちょっとした思いつきが毎日の仕事を楽にしたり、スピードがあがっていくのを実感できるのは楽しい。実家を出ると気楽で楽しいと言われてたのでその気になっていたのだが、自分の手で生活をつくっていく時間の方がよっぽど充足感を与えてくれた。家事は疲れている時でさえ、必要な時間になった。

こういう時間の楽しさは、なんだか人には上手く伝えられないものだ。積極的に伝えたいタイプのものでもない。プラスというよりもマイナスにならないための時間といってもいいかもしれない。それがたまらなく楽しいのである。プラスを積み重ねるような刺激的な生活よりも、ずっと楽しい。

独り身を楽しんでいる人の生き方も好きだ。そういう人は話していて楽しいし、恋愛や人間関係の経験値も豊富だ。モテるのもそういう人だと思う。でも、自分がそういう生き方を選べないことに結構早くから気づいてしまったのである。そのことに寂しさを覚えることもあったし、何年か前までは羨ましいとすら思っていた。でも、どうしてもそうはなれなかった。これはおそらく性分というもので、外での遊びは楽しいと思えるが、なんだかどこかはまりきれないところがあった。そんなこともあって、自分の興味はだんだんと家の中に向いてきた。

なんというか、そういう人がもっと増えればいいなと思う。生活に手をかけることを楽しいと思うような。草食系男子とか、イクメンとか、そういう乱暴な分類にひとくくりにされないで、増えていってくれたらいいなと思う。じわっとした楽しみで、ちょっと地味でモテないかもしれないけど、そういう何気ない生活の時間を大事にすることで満たされる部分がきっと人間の中にはある。声を大にしていうことでもないので、ここにささやかに書くことにする。でも、本当に伝わって欲しいと思ってることのひとつである。毎日のなにげない生活は、楽しいのだ。

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