当番ノート 第12期
声でこころが震えることがあります。 誰にでも好きな音楽があると思います。 ぼくも音楽が好きです。いろんな音楽が好きです。 うたはことばになっていて、ことばは意味を持っていて、 それがとてもいい塩梅に旋律に絡んでいくことで、 こころがぐっとせかいと同化させられるようなくらい、 すばらしいものになることもしばしばあります。 そのなかで、声、だけで、すべてを語り尽くしてしまったような、 そんな音楽に出会…
当番ノート 第12期
自分と紙と道具 基本の三角関係 目の前にある紙と話します。 道具たちが、紙とどのように話しているのか、聞きます。 ちゃんと声を聞くことが大事なのです。忘れてはいけません。 どうしたいですかー どうなりたいですかー 三角のスタートはいつも自分から。 紙から始まることも、道具から始まることもない。
当番ノート 第12期
「存在を証明するための揺るぎない証拠たち」 2013年5月 個展「標本」で作成した写真集「標本」より 断片的にいくつかの写真を。 夏休みの標本作り、それがとても好きだった。 特別に珍しいわけでもなく どこにでもいそうなそれらを幾度と無く並べ替え ひとつの箱の中に閉じこめる。 子供の頃夢中でしていたその行為は 写真を撮ることととてもよく似ている気がした。
当番ノート 第12期
トン トン 音は扉にじんわりと吸い込まれ、差し込んだ微かな日差しと共に覗いたのは、 しっとりとしたノック音によく似合う落ち着いた男性でした。 「場所はこちらで合っていたかな」 はい、大丈夫ですとねこたくんがエスコートする傍らでみみこちゃんは どうして自分がこの人のことを好きだったのかを、即座に思い出しました。 音を立てずに扉を締める腕の振る舞い、椅子へどっしりと腰掛ける体勢、 彼の所作全てが、十九…
当番ノート 第12期
<本能寺の変 前夜> ※『ぶっ殺すぞコラ』等の過激な表現を含んでおりますので、R-15です。 静岡駅西口徒歩20分のところに、本能寺というライブハウスがあり、 目下そのハコがうちのライバル店である(フィクションです)。 ライバルというか敵である。 本能寺という名前がまず気に入らない。まったくの非県民だと思うし、京都の方々に申し訳ないではないか。 店長の村上ハルヲには、テメーんとこで襲われて自害して…
当番ノート 第12期
久しぶりにプリントをした。 慎重にネガをセットし、裏返した印画紙にピントを合わせる。 レンズの絞りを2、3段落として準備完了。 六切の印画紙を縦に裂き、MとYをいつもの設定に。 何枚かプリントして露光時間とM、Yの数値を決める。 そして、本番プリントをする。 印画紙に浮かぶ像はそれはそれは美しい。
当番ノート 第12期
突然ですけれど、 ラブレターというものはほんとに存在するのですか? もしかして、「そういうものがあるらしい」 という妖怪の類いではないでしょうか。 というのも、ぼくはラブレターを書いた記憶がないんです。 そして、悲しいかな、もらった記憶もないんです。 すみません、あげたのに!ってひとがいれば、謝ります、 ぼくは鈍感なので、すみません。 敏感に誤解してよく独りで落ち込んだりはしてます。 先日、あるひ…
当番ノート 第12期
クリスマスまであとわずか。 サンタさんに何をもらおうかと夢を膨らませ あれこれと悩む息子に、 「サンタさんが迷わないように早く欲しいものを決めて お手紙を書くといいと思うよ」 とアドバイス。 この時期 ものによっては品切れがあり あちらこちらと探し回ることを想定しての 日にち稼ぎだったりするのが親の本音なのだけど。 「友達はサンタなんていないよっていうのだけど 本当?」 「ママはいると思うなぁ。だ…
当番ノート 第12期
ガン、ガン と 勢いのある音がドアの中に滑り込みました。 ひょっこり覗いた顔を見るなり 「わあああああああ」 とみみこちゃんは大きな声をあげ、 髪を爽やかに刈り上げた男の人も同じように嬉しそうに叫びました。 「久しぶり!」 「二人の交際は中学生時代、みみこちゃんが当時呼んでいた貴方のあだ名は”かっちゃん”で間違いないでしょうか。」 二人の熱気を無視するように、いつも通りねこ…
当番ノート 第12期
タバコがやめられないかもしれない話 夜中猛烈に喉が渇いたのだが、 冷蔵庫に醤油しか無かったので、俺を殺す気かと憤りながらミネラルウォーターを買いに近所のコンビニに出かけることになってしまった。 だいたい俺は東京人でもないのにミネラルウォーターを飲む輩が大嫌いで、 静岡には富士山の美味しい湧き水があるんだから水道水飲めやコラと思っているのだが、 彼女と同棲を開始してから向こうサイドの習慣に毒され、水…