当番ノート 第11期
コーヒーに睡眠薬とかして飲んだみたいなさ やったことないけど、そんな感じなんだよ カーテンの中みたいな 君といるとずっとそんな感じがするんだよ 君はなんだか知らないけど、 いっつもポッケに小銭入れててさ、 それみっともない感じがするからやめなよ と、私が言っても 子どもっぽいよ と言っても聞き入れてはくれない そうだ、私の言うことを聞いてくれたこ…
当番ノート 第11期
ある午前の雨が降りそうで降らない。 暗鬱な赤裸。眼球の裏側。 これはコマ落ちではない。運動場。数羽の鴉。無から有へ個体が成長する精神分裂のパロディ。小さなウィンドウはバランスを守り続けようとウエイトを積む。そして、どんな微細な動きも吸収する。 思えそうで思いつかない矢印。環状線が揺らぐ。ミクロコスモス。空に眼が浮かんで、偶発的に複数のイメージを濡らした。真剣にぐれている昔人達はページを飛ばされ、積…
当番ノート 第11期
必要なものがないことがどれだけ不便(ふびん)か、それを感じられる人は、何もないことによる不便(ふべん)がどれだけ幸せなことかにも気付くことが出来る。 数多ある布団の中で、おそらく心地の一番良い自分の布団の中で目覚めたとき、最初に聞く音はなんだろう? 日本の場合、夏であれば、おおよそクマゼミの大合唱で1日が始まるだろうし、冬ならばセットしたタイマーの指示通りに起動する石油ファンヒーターのスタート音、…
当番ノート 第11期
昔から周囲とのズレを感じて生きてきた。 違和感といってもいいかもしれない。 小学校で教えられた「赤信号を渡ってはいけない」「公共の場所では大きな声でおしゃべりをしてはいけない」というルールをやぶることが出来ない。 誰しも自分の中だけに適応されるルールがあると思うのだけれど僕の場合は嘘をつかない、というのが非常に大きい。 自分にとって都合が悪いことでも訊かれたら答えてしまうか押し黙るしかない。 もっ…
当番ノート 第11期
僕は仕事に対して、ひとつの考えがあります。 それは、宿の「経営」をしているのではなく「芸」として捉えているということです。もちろん宿の責任者でもあり経営者ですが、経営という言葉が、あまりしっくりこないし大事なんだろうけど経営力より、芸力。宿業ではなく、宿芸としてホトリニテを磨き上げてゆきたいのです。 訪れた人が気持ち良くすごして頂ける事が大前提の上にある、芸。 前回に書いた「宿にこそ、冗談を」を目…
当番ノート 第11期
わたしは感動しいで、それでよく疲れています。 共感はできなくても、いつも何かを持ち帰る。 世の中には、美し過ぎることが多くて困ってしまいます。 心地よさを通り越して、せつないくらい。 ああ、これはひどく感動するのだろうな、という予感があると、 見ずに逃げたくなってしまいます。 あまりに強い衝撃は、どぼんと胸に飛び込んで、 隕石が湖を一瞬で干上がらせてしまうみたいに、 わたしからたましいを溢れさせて…
当番ノート 第11期
暦の上では間もなく16月を迎えようとしている 「その土地では1年の節目に雨が立ち昇り 大地と空とを繫ぐ」 彼は遠い昔に刻まれた記憶を思い出しながら 砂漠を歩いていた 砂漠では砂混じりの強い風が時折吹き その度にうずくまってじっとやり過ごしたが 吹き付ける砂が彼の体を徐々に傷めていった 彼は乾いていた 頭の中にある地図では その土地まで歩いてあと3日というところだった 砂地に緑や潅木が混じるようにな…
当番ノート 第11期
はずれた ちっこいゴミ箱の少しむこうに、丸めたティッシュが転がる 自分が好きで出したやつだけど そりゃエッチな気分はおさまったけど、 なんかしらけた きたねえからそのままにしよう ほおっておこう 今日、タワレコにいった 日本のロックバンドのコーナーで 試聴してる髪の長い女の子がいた 可愛かった。 黒髪でさ、 遠くからわりとずっと見てた…
当番ノート 第11期
永遠に開かない遮断機。 境界が揺らぎ、一つにとどまらない。 燐寸からの亜硫酸ガス。 主体と概念が入れ替わる。 そして記憶が呪術的に保存される。 エクスパンデッド。心理的恍惚状態。 荒れ狂う人々。 電子的色彩は刺激の反乱を生み起こし、華麗さを繰り広げる。 永遠に開かないヴィデオ。 人々が遮断棒を踏み倒す。 その電球が切れた。。。 朝を開き昼を開き夜を閉じる。 それは私たちがかつて求めていたものだった…
当番ノート 第11期
今日のすすめは「英語」。 Englishと呼ばれている言語です。日本語との相違点を挙げると母音の多さや文法など数多くありますが、決定的に違うのはアルファベットを使うところでしょう。Aから始まりZで終わる、たった26文字の表音文字だけで書かれるのに対し、日本語には、ひらがな・カタカナ・漢字の3つの異なる表音・表示文字があり、漢字にいたっては数万語もの文字が使われてます。 いま読んでいるこの文章がその…
当番ノート 第11期
はじまりはいつも唐突にやってくる。 なんて書いてある小説はたくさんあるだろうけど はじまりは、はじまりの予感のあとにやってくる。 おだやかな午後の光 手を伸ばせば掴めそうな木漏れ日。 カーテンからこぼれる光が横顔を浮かび上がらせてまつげではねる。 「今日はなにか起こりそうな気がする」
当番ノート 第11期
ここで友人が体験した、小話を一つ。 老若男女問わず誰もが参加できる俳句大会でのこと、先生と呼ばれる方がその会場に集まった皆に、こんな質問をした。 「みなさん、俳句を作る時は何を飲みながら作りますか?」思い思い考えて、それぞれ答える。 俳句歴40年のおじさん「うーーん、コーヒーかなぁ。。」 俳句歴10年のご婦人「わたしは、紅茶かしら」 俳句歴60年のおじいさん「わしは、渋い日本茶だな。ふむふむ。」俳…