当番ノート 第9期
あたかも、ここに或るかのように、ここに居ること。 ほどけそうで成り立つ糸のように。 真っ白な嘘をついて、 僕そのものだった、あの頃のように。 どんなに時を運んでも、どんなに時が揺らんでも、 それらはあたかも、 ここに或るかのように、ここに居てしまうのです。
当番ノート 第9期
. 君が落っこちてしまった 僕も落ちたら君はぺしゃんこになってしまう まってて 木の実が育つまで 僕がたくさんお話をしよう 夜になったらライトをつけよう 君のすきなお花をあげる 君がさみしくないように 毎日お話をしよう . . . . 君がもどってきてもさみしくない星にしておくよ .
当番ノート 第9期
日々の中で、わたしたちは些細なことから、その先を大きく変えることまで、 いくつもの選択を繰り返しながら生きている。 それはどちらかではないときもあるし、 ひとつしかない場合もある。 ひとつしか訪れないときはきっと、そうなる前に、その方向へのなんらかの選択をしているのだろう。 そうしてひとりひとりに訪れた選択の中には、 運命や偶然や必然などと呼ばれるような、縁が降ってくる。 その縁は他者と他者との選…
当番ノート 第9期
おはよう。 こんにちは。 こんばんは。 はじめまして。 お久しぶりです。 お元気ですか? 僕は元気です。 あなたが どんな人で どんな時間に どんな気持ちで この文章を 読んでくれているのか 僕にはわからないから すべての人に向けて まずは ご挨拶。 春の終わりにひょんな出会いから憧れていたこのアパートメントに入居することになり、準備も2週間足らずとドタバ…
当番ノート 第9期
これは、わたしの色。 わたしを、あなたを、色にするなら何色だろ。 色は言葉よりもっと、人の、深くやわらかな腹の底を知ってる。 これがわたし。初めまして。まだ無色透明のあなたへ。 わたしは筆を握ってた。絵の具にさわった一番古いイメージ。 記憶の切れ端、幼稚園で、ちいちゃい手でおえかき道具を散らばした。 うすだいだいのクレヨンがぴりりと青い水彩をはじく。 真っ青な水、泳ぐ人、きみどりの浮きわ。 ちいさ…
当番ノート 第9期
その瞬間に過去になり、今の姿を閉じ込めたまま、未来にのこっていく。 僕は、写真の持つそんな力にとても惹かれる。 写真を通すことで、時間を自由に行き来することができるからだ。 僕が思い出せる最も古い記憶は、30年以上前のことになる。 あの時、どんなふうに光が射していたか、どんな音が聞こえたか、 どんな風が吹いて、どんな匂いがしていたか、今でも鮮明に思い出すことができる。 これは僕が幼稚園だった頃の話…
当番ノート 第9期
一番の深夜というものがあるなら、きっと、この時間のこと。エレベーターは、扉を閉めると音を立てなくなった。照明は落ちていて、私は青ざめた色の廊下を歩いていく。 マンションのドアを後ろ手に閉めると、誰もいない部屋が、暗い青で満たされてそこにある。───この光は、月の横顔でもあるんだろうかね───返事はなく、出窓から月光が流れ込んでいる。水のように。 水のようだ。水のように、青暗い光でいっぱいの水…
当番ノート 第9期
僕らは、単にそれをしている。 僕らは、単にそれをしている。 いろいろなことに気がついて いろいろなことを抱いても 僕らは、単にそれをしているだけなのです。
当番ノート 第9期
ぶらさがっていた。 ぶらさがって暮らしていた。 ずっとこのままだと思った。 あばれたらヒモはちぎれた。 いこう。 海を見にいこう。 みんなで海へ 海へいくんだ。 とおくとおく 僕らのせいで雨が降っても 僕らの海だ。 小さくてもちっぽけでも、僕らの海はきれいだった。 かなしくてもかなしくても、僕らの世界はうつくしかった。 六月がはじまる。
当番ノート 第8期
親から子へ、親から子へ、また親から子へと、その逃れがたい性質は、一族につらなる者たちの血潮の中に受け継がれ、ついには歴史の最後の一瞬にたどりつく。 誇りをいだく美徳もあれば、捨て去りたい呪縛もあった。激情と孤独にからめとられやすい血に翻弄されながら、その業を次の世代ですこしでも減じようと、もっとも傷つき、痛みを負ったものについて、それぞれが手と心を尽くしてそれを昇華しようとした。 祖母は夫婦…
当番ノート 第8期
時間が経つのは早いものでもう、5月も終わろうとしています。 僕が住んでいる街も昨日梅雨に入りました。 こくこくと、たんたんと時間が流れている事を感じます。 今回、ご縁をいただきこのアパートメントさんでこの2ヶ月間お世話になりました。 お付き合いいただきました皆様、本当にありがとうございました。 今回このアパートメントさんに参加させていただいて本当に良かったと思っています。 素直に感じている気持ちや…
当番ノート 第8期
2ヶ月間、絵についてのごく個人的な事柄を書いてきました。 自分がなぜ絵を描き続けているのかということもいくつかの角度から考えてみましたが、一番大きかったのはインターネットという場があったためだろうと思うのです。 思えばずっとインターネットをしてきました。 「coca」というハンドルネームも、中学2年生で初めてイラストサイトを作った時のもので、それをずっと使っています。 売り物でもなく、賞に出品する…