当番ノート 第8期
京都は祇園にあった小さなお店 そこは9席ほどのカウンターがあって、確か後ろに二人掛けの机がふたつほど 真ん中には70歳くらいのおばあさんが一人で切り盛りしていた 入り口の窓には鮮やかな黄色いレモンが飾られて 観光客が多い通りにひっそりと小さくそのお店はあった 見落としてしまいそうなほど地味な外観に、初めて入る時はいたく緊張をした 時々咳をしてしゃがみこむおばあさんは どう見ても具合がいいとは言えな…
当番ノート 第8期
1世紀前、蜃気楼がぽかりと浮かぶ北の港町で「町いちばんの美(うつく)しっさん」と呼ばれた男の血を受け継いだ女は、その美しさの呪いにより、生涯にわたって苦労をせおうことになった。 美しい男——わたしの曾祖父は、地主の14番目の子、待ちに待った嫡子として生まれたが、医者から「20歳を待たずに死ぬだろう」と告げられた。 長らく男子がうまれなかったことから、地主夫婦はやむなく、長女の婿を跡継ぎにする…
当番ノート 第8期
静岡で小さな写真屋と小さなギャラリーとレンタル暗室を営んでおります大野と申します。 ご縁をいただき4月、5月とアパートメントさんにお世話になることになりました。 よろしくお願いします。 さて、冒頭でお話しをしたように僕は小さな写真店を営んでいます。 以前は皆さんの住む街のあちらこちらにありました「街の写真屋さん」。 フィルの現像やプリントをしたり・・ 証明写真を撮ったり・・ アルバムやフレームを販…
当番ノート 第8期
絵を描く時に気になることのひとつは、風、重力、水の流れ、など、画面の中を移動する力のことです。 画面の中を移動する力であれば、それは風のように見えても、もしかしたら別の惑星の引力かもしれないし、必ずしも風でなくてもいいのです。 何の手がかりもない白い紙の上にペンを走らせるのはいつも心細いです。 先の見えない迷路に入っていくような気持ちです。 画面上の流れは、その迷路を解いて、なんとか絵のようなもの…
当番ノート 第8期
「ひなたの本当のあたたかさは、いつも日陰のとなりにいること」 仕事場に向かう冷たい風の吹く道で、 たてものの隙間から差し込む光を見ながらそんなことを思った。 その光は、影との柔らかなコントラストの中で自分を含む世界を歓迎し、 自らの存在を誇示することによってではなく、 自分とは異なる存在の隣にただひたすら“居る”ことによって生まれる強さみたいなものを持っている。 ひなたがひなたとして温かみを持つ時…
当番ノート 第7期
2ヶ月にわたり、自分の成り立ちやAsian Photo Artsがピックアップした4人の写真家を紹介してきました(2週書けませんでしたが…)。最後は私自身の思想や理想について ”Symbiosis on the Circle”, ”INSIDE OF INSIDE”をテーマに書きました。 Shota Ogino Solo Exhibition@int…
当番ノート 第7期
7日前 お天気がよくて暖かい一日だった。上着は必要なかった。薔薇の花を一本もらう。とても赤い。 6日前 午後10時からのニュース。中国の黄砂について。以前は草や花があったところが砂漠になった。砂漠は年々増えているとか。人にできること。樹を植えること。何年、何十年、何百年かかるかわからないことを人はやっていく。 下北沢の開かずの踏切。電車は地下に潜り、1時間近く待たされた踏切はなくなった。その1時間…
当番ノート 第7期
いやいや。 どうもありがとうございました。 木曜日というお役目も、この回で終わりでござんす。 さようなら、みなさん。 最後にのんびり「しゃもと」の、朝の生活を紹介して終わりにしたいと存じまする。 朝。7時に「お母さん、お腹すいたぁ〜」という小さい男のひそひそ声で目が覚める。しかし、「そうか、お腹がすいたのかぁ」と言ってはみるものの起きれず。トド状態。 しばらくすると、小さい男の声が大きくなってくる…
当番ノート 第7期
写真というのは表面しか写らない。 例えば人を撮ったとして、写るのはその人の表面であって、間違ってもその人の「内面」的な何かが写るとか、そういう傲慢なことを思ってはいけない。 大体人の内面とか人間性とか、そんな複雑なものが写真一枚に表現できるなんて安直に考えている人は、結局その人の「内面」的なものを侮っているのである。逆の立場に立ってみたら良い。自分が人に撮られるとする。ちゃんとそれがそこそこ僕っぽ…
当番ノート 第7期
. 日日すうすうとあふれてはこぼれ落ちる ことばのかずかず ふつふつと現れてははじけて散っていく つぶやきのひびき 生まれてはいつのまにか消えていく 忘れてしまう まぼろしだったかのように それが 生きているっていうことなのかもしれないけれど . . それは違うとおもう やっぱりそれはちがうとおもう でもきっとわからない じゃあそれは それで正しかったっていうこと それが ただしかった っ…
当番ノート 第7期
人生とは、長い夢のようなもの。 大切なものが見つかったら きっと夢は醒める。 大切なものがなんなのか それを知るために、こうして生きているわけだけど 本当は・・・それがなんなのかを もしかしたらちょっとだけ、気がついているのかもしれない。 陽が昇り、日は沈む。 月は昇り、夜は明ける。 何事もなかったかのように、毎日は繰り返されていきます。 まだまだ夢は続くので 醒めるまでの時間を、風に吹かれていら…
当番ノート 第7期
諸事情により2週間コラムをお休みしてしまい申しわけありませんでした。アップ再開します! イガラシさんとのインタビューの続きですが、今回のトピックは個人的に特別フィーチャーしたい大切なトピックだったので、あえて分けました。このトピックを読んだあと、彼の作品を見直せば見え方が変わります。 作品からにじみ出るイガラシさんのポジティブさの理由は、記憶や死と向き合う彼の日常にありました。 ※前回のインタビュ…