かさねのせかい はざまのものたち
はざまのものたちが撒いた タネはヒトから芽吹いても 育つことができないこともある タネが芽吹くと ヒトは毎日ユメをみる憶えていないのは タネがヒトの虚(うろ)に落ち 溶けてしまったから はざまのものたちは それでも 好んでヒトにタネをまく
かさねのせかい はざまのものたち
はざまのものたちは かさねのせかいのうすい膜を けっして穿つことはないかれらは 輪郭など もたないものたちだから いくつもの層を すがたを変えながら 緩々と 行き来しては いろとりどりのタネをあつめる そして あつめたタネを ヒトに蒔きにやってくるのだ
かさねのせかい はざまのものたち