長期滞在者
おかあさんは、ぎゅっと くまきちをだきしめました。すると、「くるしい!」「ばかあ!」「とんちき!」「わるものお!」というこえが きこえてきたので、おかあさんはびっくりしました。 (『ありこのおつかい』より) 今日の読書の授業は昔話の紹介だ。読み聞かせも終わり、各々読む本を選んでいる。K君が書架の間を歩きながら、「パンツパンツパンツ……」と連呼している。別に「パンツ」と言いたいなら言えばいいのだ。い…
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6月は見送ることの多い月だった。感情があっちにこっちに飛ばされて、流されて、正直すこし疲れ気味ではある。 長いこと闘病していた祖父が6月11日に亡くなった。アパートメントで連載している往復書簡に、祖父について書いた直後のことだ。実のところ、祖父が亡くなる数日前からちょくちょく両親と連絡をとってはいて、そろそろ本当に容態が良くないとは聞いていたし、心の準備はしておきなさいとは忠告されていた。覚悟は多…
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ヨルダンでは年に数回しか降らないという雨が降っていた。 私はその日、ペトラ遺跡に行く予定で。 「ペトラ遺跡で雨なんて珍しいことだよ!」と言われた。 そうか。明日にはこっちに来るからだろうか。 このまま土砂降りの雨になったら、ヨルダンでも伝説を作ってしまうのかもしれないと考えてしまった。 ペトラ遺跡からアンマンの市内に戻る車の中で、 雨に包まれたヨルダンの広大な大地を見ながら、「THE ONE -c…
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謎の人、だいなごん。 何が謎って、名前が謎(笑 ・・・・・・ ところで、先日開催いたしました九州震災支援アートバザール「アニマート」。 皆様のおかげをもちまして、なんと → click here (怪しいサイトに飛んだりはしません!)
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昨年に続いて六本木のフォトイベントにブースを出店して、主にここ1、2年のうちに紹介した作品をたくさん展示しています。 毎年楽しみにされている方もいるのでしょうか、昨年よりも好みの作品を物色する姿に熱っぽさを感じます。 毎回、この手のブース展示に参加するときには、努めて従来のギャラリーらしさを意識的に否定することを心がけています。 規模の大小を問わず、いくつかのアートフェアなどに出かけて思うのは、そ…
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「先を譲れるか」 電車に乗るときのことだ。朝、いや、朝でなく他の時間帯でも、渋谷、新宿、東京駅など、人が大きく交差する場所に行けば行くほどに、モヤっとする光景に出くわすことも多い。 プラットホーム、乗車を待ちかねて並ぶ人たちの中には、電車が来るやいなや、車内から出てくる人たちをお構いなしに、ターゲットの座席だけを目指して、なんとしてでも自分が座るべくお隣さんたちと小競り合いをはじめる。妙な心理戦が…
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ヨーロッパというか、西洋の主だった国ではそろそろ年度末である。 もちろんベルギーも例外ではない。 公の機関がほとんど機能しなくなる夏休みに向けて、あれこれ忙しい時期だ。 ぼくが通っている美術アカデミーもそういうモードになってきた。 大の苦手であるお片づけの指令がお上から出たので、渋々従ってみたり、 釉薬を決めかねて溜まっている素焼き状態の作品に慌ただしく施釉したり、 その隙間になんとかもうちょっと…
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きのうころしたいちまんびきのライオン いちまんびきのライオン いちまんびきのライオン きのうころしたいちまんびきのライオン きょうはなんびきころそうか (『子どもに聞かせる世界の民話』より 「ヤギとライオン」) 雨が降ると一般的には商売あがったりだが、学校の図書館は一転大賑わいとなる。授業の終わりのチャイムがなるやいなや、外で遊ぶことのできない子供らが、わんさわんさと押し寄せて、芋洗い状態になる。…
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日々、同じ時間に起きて、同じ時間に家を出る。そんな生活が始まって、もうすぐで三週間になろうとしている。そうしたルーティンがある仕事は、実のところ数年ぶり。 先月の今頃は、今後の生活がどうなるのかまったくもって不確定だったから、毎日が不安で仕方がなかった。熊本の地震でかなりナイーブにもなっていたし、それにこの家はよく揺れる。首都高に近いし、地下には電車が走ってる。そんな、常に地面が揺れているような感…
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この連載のタイトルは「暁」と「人類学」という、二つの名詞からできています。どちらも何かと何かの「あいだ」に生じます。夜と朝のあいだに暁が現れるように、フィールドと母国のあいだ、生活経験と学問的概念のあいだ、他者と自己のあいだに人類学が発生する。 「あいだ」にあり続けることは、時に淋しく辛いことでもあります。不眠症者が朝の到来に怯えるように、フィールドで経験を積んだ人類学者ほど母国への適応に怯みます…
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何度も読みたい本があり、一度きりしか読まない本もある。 だからといって、何度も読みたい本が優れており、一度しか読まない本がダメな本だとは限らないところが不思議だ。 僕が今までに一番回数を読んだ本は、おそらく10回は読んでいるはずの、とあるノンフィクションライターのマルティニーク島への旅行記である。 マルティニークはカリやマラヴォワなどの音楽にまずハマって、その後、そこがラフカディオ・ハーン(小泉八…
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少し前に、都内である美術展を鑑賞した後に展覧会の感想を座談形式で記事にするお仕事がありまして、とても新鮮な体験で異なるジャンルを扱う方を交えての対話からこちらも得るものが多い機会をいただきました。収録される座談の部分は終わり、レコーダーも止まった後に、企画立案に関わる者同士、昨今の展覧会の広報宣伝の難しさについての話になりました。展覧会の観客動員数というのは、ぼくが主宰しているような小規模な会場に…