当番ノート 第20期
日本から遠く離れた北欧の国スウェーデン。 首都ストックホルムには、父方の親戚が暮らしています。 * むかし長崎の商社で働いていた私の祖父ゆずるが、長崎港に寄港したスウェーデンの海兵グスタフと出会い、 YMCAで英語を学んでいた妹の真理子に英会話の練習をと紹介したのがきっかけで ふたりは日本とスウェーデンで文通をつづけ、翌年またグスタフが長崎を訪れて祖父の家に滞在し、帰国前に真理子にプロポーズ・・・…
当番ノート 第20期
5-1 間奏。 井尾がいる。それとは別の場所に大熊がいる。そしてまた別の場所に佐竹がいる。今回三人は関係がない。出会っていない。そういうこともある。 佐竹は走っている。ランナーのように淡々と、一定のペースで走っている。 大熊はラジオ体操をしている。しかしその動きは、音楽と合っていない。拍だけはかろうじて合っているものの、まるでデタラメな振りでいい加減に体を動かしている。 井尾は誰かを…
当番ノート 第20期
みなさま、こんばんはー。 って、すかっとさわやかな青空画像で、こんばんは~ってのもなんですが、今日は、この「テント船」のお話。 この船は、2015年3月に新造船したばかりのピッカピカのnewフェィスですが、昭和40年代までは氷見浜にいっぱいありました(今は現役で漁にでている木造和船はありません)。 海の風、潮の流れはその土地ならではのもの。かつては、その土地、というより、ひとつひとつ…
当番ノート 第20期
ドイツでは白アスパラが旬の季節になりました。街中に白アスパラが登場し始めると今年も春が来たなぁ〜と感じます。春だけの楽しみ。 ある季節にだけ手に入ったり、その場所でしか手に入らなかったりというのは、いつも便利に存在してくれる事よりも、時として贅沢に感じたりします。 さてさて、今回は我家の仲間たちについてお話しようと思います。 食事をして、ものづくりをして、会話をして、寝る。 朝起きてから寝るまで、…
当番ノート 第20期
* ぼくはよく筆とペンを使って絵を描きます。 人によっていろんな画材を使っているでしょうが、 マチエールだとかビジュアル的な違い以外にも、その画材の持っている物語があって 絵を見るときは無意識にその物語を読み取っているような気がします。 油絵の具だったら、西洋画が辿って来た格式高い歴史や人々を。 鉛筆だったら、スケッチや日常の中で捉える瞬間とかきづきを。 ペンだったら、仕事の中での書類やサイン、誰…
幻覚にカーテンコール
iv 燐光の香り 扉を開け、その光景を目にした時、私は遠い昔に観たある映画に出てきた、魔女の部屋を思い出した。 洗い立てのシャツのように真っ白で清潔な床、天井。壁の大半は大小様々な淡い水色の引き出しに覆われていて、その一つ一つに濃紺のインクで丁寧に書かれた分類ラベルが貼られていた。 引き出しの並ぶ壁を背にする形で、白いペンキで塗られた古く大きな作業机と濃紺の椅子が置かれている。机上は無数のビ…
長期滞在者
アート・ブラッセルというアートフェアが4月24日から27日まで開催されたのだが、 そこに、日本の堀尾貞治さんとその仲間4人が現場芸術集団「空気」として参加した。 彼らのアテンドのような形で仕込みや客の通訳なども少し手伝うことになり、 仕込みを含めた会期中、毎日会場に足を運んだ。 今回の展示は「Art Vending Machine」と銘打たれたもので、 アントワープにあるアクセル・ヴェルヴォールト…
当番ノート 第20期
じつは夫のためだけに絵日記を描いている。最初は旅先でナプキンに似顔絵を描く程度だったものを、旅の終わりに日記帳を購入し、帰宅後も日課として描くようになった。この春で結婚3年目、日記はすでに2冊目の半ば。 夫は非常にマメな性格で、毎日毎日、同じ時刻に起床して同じメニューの朝食を摂り、同じリズムで同じ生活を繰り返すことを厭わない。一方の私は何をしても三日坊主で、気の向くままにその日暮らし、何かに没…
当番ノート 第20期
5月末に大学の授業が終わり、帰国までの2ヶ月はヨーロッパを旅してまわる事に決めてバルセロナ行きの航空券を予約。 ロンドンで個展中だった先輩のTORU ISHIIとDalston Junctionで待ち合わせ、シンガポール料理屋へ。 夜は先輩の紹介で知り合った女の子の家に泊めてもらい、翌早朝、物音を立てない様にひっそりと出発。 バス停のあたりはまだ薄暗くてクラブ帰りの人々で大麻臭い…ファ…
はてなを浮かべる
はてな、 はてなは今までどこにいたの? はてなは昔、なんだったの? ぼくは、 はてな、 口を離したマグカップの痕だったよ あまり気付く人はいないけど 口が触れて離れたから そこにできたものだよ はてな、 飲み込まれた言葉だったよ 外に出て行くことはできなかったよ でもずっ…
長期滞在者
台所がおかゆでいっぱいになり、家じゅうがおかゆでいっぱいになり、それから、となりの家がおかゆでいっぱいになり、家のまえの道も、おかゆでいっぱいになりましたが、おなべは、まだ、ぐつぐつ、ぐつぐつにています。まるで、世界中を、おかゆでおなかいっぱいにしてしまいたいと、思っているようでした。 『おいしいおかゆ』より 熱があって学校を午前中で早退した日のこと。食欲がない私に母がお粥を作ってくれるという。め…