魂について

第2期(2012年4月-5月)

35年間。
僕が今まで目にしたあらゆるもののなかで
いちばん美しいと感じたのは、妻の魂だ。

妻は幼い頃から大変な経験をたくさんしてきた。
もちろん、生きていれば誰もが大変な経験をする。
しかし、妻の経験は一般論的な「大変さ」を
はるかにこえているし、今なお、大変の最中だ。
それについては詳しくは書かない。
ある種の強い言葉は、慎重に使わないと、
使った者を巻き込んで暴走するときがあるからだ。
僕の尊敬する魔法使いゲドがそう言っていた。

魂というのは、
動物の肉体に宿って
こころのはたらきを司るものだ、
と、広辞苑に書いてある。

僕は、妻のこころに触れるたび、
その魂の美しさを感じる。
妻の魂の中心には、
どれだけ辛く苦しい思いをしても、
深い傷を負っても、
決して失われない光がある。
僕はその光を見たことに感動する。
そして、妻がその光を見せてくれたことに感謝する。
僕はその光を守りたいと思う。
その気持ちは、僕の本能だ。

もちろん僕らは、
まいにち魂だとか本能だとか言って
暮らしているわけではないけれど。
給料があがらないだとか、
ホットケーキがうまく焼けただとか、
不燃ゴミを出し忘れただとか、
そういうなんでもない生活のなかで、
時折、僕は魂のことを思う。