旅立ちの月曜日

第3期(2012年6月-7月)

♪(ニュース速報の音)============================================
※ニュース速報を伝えるアナウンサー口調で読んでください。

ニュース速報をお伝えします。

長能家のカンナちゃんが再来年の春、
生まれてはじめて「人生の選択」に直面することになった模様です。

それは、ランドセルの色。

ランドセルの色と言えばかつては「男の子は黒、女の子は赤」と
色を選ぶ余地もありませんでしたが、
最近では、赤はもちろん、ピンク、イエロー、グリーン、パープルなど
ももいろクローバーZを彷彿させるような豊富なカラーバリエーション。
さらには国民的人気キャラクターをあしらったビジュアル系ランドセルも登場。
個性や好みを優先させるのか、定番を選ぶのか、はたまた機能重視か、
攻めるのか、それとも守りに入るのか。
女の子だから赤!もはやそんな単純な時代ではありません。

ここで長能家のご主人、トヨカズさんのインタビューをお聞きください。

「6年間ずっと使い続けるものだから、安易には決められませんよね。
 カンナには悔いの残らぬよう、多いに悩んで決めてもらいたいと思っています。
 でもどうしても決められない時は父親としてこう言ってあげたいですね。

 白色を買って、6年間かけて自分色に染めてくってのも悪くないんじゃないかな。」

「人生の選択」以前に、
数あるアドバイスの中からそのアドバイスを選択したことが
今、長能家で大問題になっているようです。

以上ニュース速報をお伝え致しました。
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さて僕は最後のコラム何を言いたいのか。
つまりこういうことです。

日本人メジャーリーガーの
活躍も気になるけれど、
ミウの活躍はもっと気になる。

世界あちこちの紛争も気になるけれど、
ミウとカンナの紛争はもっと気になる。

日本の景気も心配だけど、
わが家の景気も心配だ。

グローバルなニュースも大事だけど、
その片隅で起こった取るに足らないわが家のニュースは
もっともっと大事。

アタマのニュース速報で伝えられた「ランドセルの色」のように
重大ニュースとは正反対の
つまらないくらい小さなグッドニュースが
毎日たくさんあるのです。

親バカ写真ってなーんかバカにされがちですけど、
親バカ写真は家族を全力で愛していなければ撮れません。
親バカ写真は家族との信頼関係がなければ撮れません。
親バカ写真は常に家族の一挙手一投足に目を光らせてなければ撮れません。
親バカ写真は撮る方の自分も本気でバカにならなければ撮れません。
そしてどんなささいな会話も、出来事も、スクープも絶対に逃さないという気持ち。
そう、親バカな写真を撮るためにはめちゃくちゃ労力が必要なのです。
でもそんな親バカな写真を見て喜ぶ家族の姿を思い浮かべると何故かがんばってしまうのです。
それが世の中のお父さんたちなんです。
親バカ写真を撮るお父さんたちは、
いわば家庭のオフィシャルカメラマンなんです。

そしてそんなオフィシャルカメラマンが撮った
取るに足らない、そしてつまらないくらい小さなグッドニュースを
たまに家族で見返した時にみんなが
「よし!明日からはもっともっと楽しいまいにちにしてやろう!」
っていうエネルギーになると信じて撮り続けるのです。

ふぅ〜。(タバコの煙を吐く音)

原稿用紙に最後のコラムを書き終え、
いつものように換気扇の下でタバコをくゆなせながら
すっかり荷物が片付けられがらんとしたこの部屋を眺めながら
今度このアパートメントに来る時は、
「長能家のオフィシャルカメラマンのこの俺がついに少女時代のオフィシャル写真を撮ったゼ!」
というビッグなお土産話を持って遊びに来るよ。と心に誓った月曜日。

二ヶ月間お世話になったちょっとタバコ臭くなったこの部屋に別れを告げ、
PENTAX67と大量のフィルムを手に
長能家のオフィシャルカメラマンとして再び家族の決定的瞬間を虎視眈々と狙うべく
みんなが待つわが家に帰るのでした。

2ヶ月、アホなコラムにお付き合い頂き、本当にありがとうございました。
                            長能 豊一

「パパー!早く帰ってきてー!」