空き地に舞い降りた天使

第12期(2013年12月-2014年1月)

愛猫むぎお 愛称むーさん
彼は空き地に舞い降りた天使なのかもしれない

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むぎおは日々のんびりと暮らしている。
私の起床と共に目を覚まし ごはん頂戴と 朝のご挨拶。
ニャー。
お腹いっぱいになると家中を軽く偵察し、毛づくろいをし、
目の前を行き来している私にちょっかいを出したりしている。
一通りのことを終えると 仰向けにの格好になり またゴロゴロ。
寝転んでばかりいるむぎおだが ご主人様のお見送りは日課になっていたりする。
玄関まで出向き三つ指をついているかのような姿勢で いってらっしゃいませのご挨拶。 
ニャー。
どうやら おもてなしの気持ちは持ち合わせているらしい。
無表情で用を足し、しばらく窓の外を眺めながらの日向ぼっこ。
あくびして ノビをして またあくび
それが むぎおの一日のはじまり。

四年程前、小学生だった次男が通学途中の空き地でダンボールを発見した。
覗き込むと そこには震える三匹の子猫。
登校中だった彼は後ろ髪を引かれる思いで学校へ行くが、授業中も気がかりで仕方がなかった。
ようやく下校時刻。
子猫を見つけてから既に六時間くらいが経っている。
まだいるだろうか・・・

急いで空き地に行ってみると子猫は一匹だけになっていた。
むしろ一匹でも残っていたことに驚いたけれど、それほどまでに衰弱していて
動けなかったということだったのかもしれない。
次男はいてもたってもいられず、かぼそい声で鳴きながら震えている小さな小さな子猫を
大切に抱えて帰ってきた。

「かわいそうだからどうにかしてあげたいよ、うちで飼ってもいいでしょう?」
という言葉に、「飼ってくれる人を見つけてあげようよ」
その時はそう返事するしか答えが見つからなかった。
かわいそうという気持ちだけで安易に返事もできなかったし、何より犬派だった私自身、
猫が家に居るのを想像することもできないでいたのが本音だった。
次男は 体を洗ってあげたり、ごはんをあげたり、甲斐甲斐しく子猫のお世話をはじめた。

その日の夜、家族会議をした。 その次の日もまた話し合いをした。

猫について全くの無知だったので調べてもみた。
年間多くの猫が殺処分されているという悲しい現実
野良猫が交通事故によって命を落とすことが少なくない現状を
改めて思い知らされる。
その何日かの間、慣れない部屋を常に警戒し うろうろとしていた子猫は、
いつのまにか私の後を付いて回り そばにきて眠るようになっていた。

こうしてむぎおが家族に加わった。
今ではすっかり我が家の主だ。
あの震えていた子猫とはとても想像つかないほどに まるまると太っている。
大きな体を仰向けにし、時にいびきをかきながらすやすやと眠る姿は
あまりに無防備で警戒心など微塵も感じられない。
可愛さのあまり時にいじわるをしたくなる。
「こんな寝方で外の世界にいたら むぎおなんてすぐにやっつけられちゃうからね」
「雨の日、野良猫ちゃんたちは寒さで震えているのよ、暖かい部屋でゴロゴロできていいわね」
なんて、
「猫の恩返し」を期待してるかのように恩着せがましく言ってみたりするものの
当のむぎおは片目をうっすら開けるか開けないか程度でしらんぷり。
図々しくもふてぶてしい態度だというのに そうすればするほどに愛おしく
自然と笑顔がこみあがる。

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あなたの存在そのものが恩返し。
わかってるってそんなこと。

mugio500A

ねぇ、むぎお
あなたはしあわせですか?