色を塗る

第13期(2014年2月-3月)

モノクロの写真は現実の色から少し離れられるところが面白い。

シャッター1つで、黒い粒粒の集まり に変身。
色の情報量が減った分、見る人はそれを補おうと新しい色をつけようとする。
もちろん無意識の間に。

撮った自分だけが知る元々の色を目にすることができない人たちは、
それぞれの胸の中で思い思いの色を塗ることができる。
現実の風景と近い色で塗ってくれる時もあれば、
撮影者からは想像もできないような色に塗りかえたりもする。

恐らくそれは「自分だけの写真」が、誰かに見られることを通し
色とイメージを変え「誰かのもの」になる瞬間である。

写真を人に見せるようになった最初のうちはその感覚を「さみしい」と感じた。
なんとなく、そこに含まれている思い出やエピソードが死んでいく気がしたからだ。

「面白い」と思えるようになったのは、あるモノクロの写真を展示した時だ。
部室の裏に咲く、大きな桜を撮った写真。
後輩がそれを見て
「うみの中にもぐって撮ったようにみえますね。」と声をかけてくれた。

ああ、この子にはきっと綺麗な青が見えている・・・良いなあ・・・。

写真を通して、海に潜ることができた彼女がとても羨ましく思えた。

自分が目にした風景の上に、全く別の色を塗って改めて見てみるのも面白いということに気づいた瞬間だった。

色3
色1
色5
色7
色4
色2
色6

誰かが私の撮ったモノクロの写真に色を付け加えてくれるのであれば、
どの部分をどんな色に塗ってくれるのだろうか?
どんな景色にみえたのだろう?何に見えたのだろう?
それは私が実際に見た風景に近い色だろうか?
私が塗りかえて表現したものと近い色だろうか?
もしも実際に塗って見せてくれる人がいたら、ぜひ見てみたい。