はたち

第14期(2014年4月-5月)

  はたち          平吹正名

A はたち。
B そうね。
A はたちかあ。
B そうだね。
A はたちだよ。
B うん。
A 。。。
B ゴールが見えた。
A 見えた。
B 。。。
B あおいね。
A お腹空いたなあ。
B ラーメンかな。
A 簡単だな。
B 簡単じゃないものってあるんだね。
A 何それ?
B お姉ちゃんは、みそじになって本当の大人なんだって言ってた。
A え?
B 現実。
A ちゃんと働いてなくても?
B ちゃんとって?
A 生きてくもんね。
B くくられるって。夢で生きづらいって。
A 変わんないでしょ。
B 。。。
A 。。。
B あっ
A あっ
B いいね。
A (笑)
B なんだよ。
A どっか行きたいな。
B え?
A どっか。
B 。。。
A あいつ、どこ行っちゃったんだろうね。
B そうだね。
A 行こ。
B いいよ。

こんにちは、花粉症なんて絶対ならないと根拠のないこと言ってたら、今年肌に来てるんじゃないか疑惑、平吹正名です。

去年のことです。
武蔵野美術大学映像学科オープンキャンパス内で、スタジオ演出体験というものがありました。
それで、来場した受験生にお芝居も経験してもらうのを見越して、短いテキストを書きました。

結局それはやらなかったけど、春になりムサビに行き、その存在を思い出し加筆修正しました。

オープンキャンパスに来るのは女子高生が多く、武蔵野美術大学映像学科も男女比、女子7男子3ぐらいなので
その辺りの年齢の女子同士の会話を書くとしたら、どうなるのだろうと思い挑戦しました。
関わってきた生徒のあんな顔やこんな顔を思い浮かべたり浮かべなかったり、
いつかのオープンキャンパスにふらりと来た女子高生の眼差しを参考にしたかもしれません。

実際にやったとしたらスタジオなので、カフェから窓の外の風景を見ながらの会話かもしれない。
屋外だったら、学校をサボって、何となく遠くに見える何かを目指しながらの会話かもしれない。
色々な状況を作れるように書きました。
僕のなかでは状況やト書きは頭に入りながら書いていますが、会話のみで載せてみました。

役者の仕事は行間を読むことだと言いますが、言葉と言葉の間には何億通りもの時間が存在していると思います。
長い長い時間をかけてようやくその一言が言えたり、
ポンッと言われた言葉に即座に反応して切り返してしまうこともあります。
また、文字に起こしただけしか登場人物は存在するわけではなく、
いまここでの時間の過去と未来の時間は確実に存在しているのです。
読んでくれた方は貴方なりのキャラクターや状況や時間を想像して世界を作り上げると、
また面白いのではないかと思います。男子女子の組み合わせもいいでしょう。
何度も何度も読んでみたり声に出したりしてみると、意外とスルメだなあ、と思うかもしれません。

では、また、来週も宜しくお願い致します。

平吹正名