またはじまる

第14期(2014年4月-5月)

   またはじまる          平吹 正名

あてどなく自転車を走らせていた
知らない道
何もはじまってない一日のはじまり
雑木林とも名づけられない恐怖
瞬間的に淫靡な空間も乾いた笑い声
戸惑う間もなく
歩くことに真剣な老人
雪の日に出会った
頼りないきみの姿を重ねる
予感の背中
透明な会話
笑っちゃう雪道
差し出し忘れた手
二つに分かれる道
振り返りそうな足音
シンクロする
わたしたちの音の世界
レッスン

静まり返った教室に
喜びとも悲しみともいえない
残り香
交わりがストップモーション
としてちらつき
残響に胸がすく思い
理想の時間が終わり
気付いたら
夏の玄関に立たされていた
現実はどこまでも恥ずかしい
隙間なく養生で止めても
毎日が更新してくる
日曜日のフェスの笑い声と重なり
怠惰にまばたきを繰り返す
楽しむことは身も心も
隠れていた存在の発露
誰も腕を組んでいない
紛れもない初夏
ラオスビール
素晴らしき日曜日のサンプル
祝祭を歌っていた
とにかく歌うことかもしれない
しゃがみこみ
空白を抱えても
いつでも立ち上がるために

ベーグルが本当に美味しかったから
反対車線を逆走するように
あてどなく自転車を走らせていた
遠くしか見えない
つっかけが擦りきれ
二軍の衣服もせせら笑い
泥々になった
きみに会いに行こう
理由が必要なものほど
先細りしていく
あなたの聖域は?
霧散して
収斂して
棚上げして
アナログで形にして
なかったことにして記憶して
思い切り
あの日に
手を振った
またはじまる

今回、このような場を頂きまして本当に感謝しております。
二ヶ月間はあっという間でした。落ち着いて向かい合えたり、よく分からないダイナミズムのなか
言葉を吐き出したときもありました。
僕は写真も勉強していたので写真も載せたいと思いつつ、いまは言葉なんだと、
余計な情報は入れないようにしました。
また機会がありましたら、そういったことも考えたいです。
ご覧になってくださった方、アパートメントの皆様、ありがとうございました!

平吹 正名